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独裁政権
第二章
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「はい」
「そして国土は美しく様々な歴史的建造物がある」
「それ等を使わない手はありません」
「その通りだ。では決まりだな」
「これで外貨を手に入れましょう」
 経済とは複雑なものだ。ただ自国の貨幣だけがあればいいというのではない。外貨も必要なのだ。彼等はそれも手に入れるつもりなのだ。
「暫くすれば工業も立ち行くようになりますし」
「これで国の経済は完全に自立できるようになるな」
「既に国民所得はクーデター前の十五倍になっています」
 言い換えればそこまで破綻していたのである。
「失業者も減り国民も何とか一日三食食べられるようになってきています」
「粗末なパンだがな」
 こういう前提はあるにはあった。
「だがそれでもだ」
「はい。では閣下」
 リンデンバーグは話が一段落したところで彼に言ってきた。
「もう昼食の時間ですが」
「そうだな。ではいつものものを貰おう」
「いつものあれですか」
「そう、あれだ」
 リンデンバーグに言葉を返す。
「それをもらおう。いつも通りな」
「わかりました。それでは」
 リンデンバーグは敬礼の後すぐに人を呼んだ。運ばれてきたのはジャガイモを皮ごと茹でたものとソーセージが二本、それに粗末なパンだった。固くパサパサとしていて如何にもまずそうなパンだ。それに水があるだけで。この国そのものと自ら言うわりにはかなり粗末な食事であった。

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