第八章
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ロック界の新星だ」
こうしてほぼ一夜のうちに彼はスターダムに登った。バンドの仲間達も驚いていたがマクドネル自身もだった。しかし彼はその中で言うのであった。
「今度の英雄はですね」
「そうか、スターになっただけでは満足しないのか」
「満足とかそういうのじゃないです」
こうオコンネルに返すのだった。
「英雄になりたいですから」
「だから満足していないのかい?」
「そうじゃなくてですね」
そう言われるとそうではないと返すのだった。
「英雄っていうのはただひたすら上を目指すものじゃないですかね」
「それが英雄だというのかい?」
「はい」
まさにそれだと返すマクドネルだった。
「ですからまだです」
「そうか。どうやら僕は」
ここでオコンネルもあることがわかったのであった。それは。
「本当の英雄を見つけたみたいだな」
「本当のですか」
「このまま頑張ってくれ」
彼に温かい言葉をかけた。
「そして本当の意味の英雄になってくれ」
「そして神にですね」
「そう、君はそのまま永遠に進んでいくんだ」
マクドネルを見る目はこのうえなく温かいものになっていた。
「いいね、このまま」
「わかりました。それじゃあ」
「きっと素晴らしいものが待っている」
それも見えてきていたオコンネルだった。
「それを手にしてもそれからも」
「はい、進んでいきます」
満面の笑みで応えるマクドネルだった。これが後にオペラ界において最高のカウンターテナーと絶賛されロック界においても名を残したジャッキー=マクドネルのはじまりであった。彼はオコンネルの言う通り本当の意味での英雄だったのだった。少なくともそう言われるだけの人物であった。
カウンターテナー 完
2009・11・13
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