47:その勇姿と共に
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賛同してくれる人が居ないんだからな!」
「なんだ、と……?」
図星であったかは定かではないが、癪に障られた顔でデイドは俺をさらに凝視した。
「なぜなら、お前は自分の事しか見ていない。いや、それすらも見えていないからだ……!」
「テ……テメェッ! もう一辺言ってみろ!!」
今度こそ、その毒々しい矛先が俺の胸元の直前にまで押しやられる。
しかし俺は一度も退かず、
「文字通りの意味だよ。……お前は絶対に理解されない。お前には、そう――周りが見えていないからな!!」
「どういう――ぐアっ!?」
その時、デイドの体が呻き声と共に大きく揺らいだ。背後からの衝撃に、その目が今度は純粋な驚愕に見開かれた。
「なン――だとォオ!?」
その衝撃の方向を凝視し、さらに驚きの声を重ねる。
それもそのはずだ。この場に動ける人物は皆無。無論、俺もデイドに槍を突きつけられてからは一歩も動いてはいない。それは事実だ。デイドもそう確信していたからこそ、さっきは唯一反撃に出られる可能性を持つ俺とユミルだけに意識を集中し、結果、ユミルを不意打ちによる一撃で戦闘不能にさせ、残る俺を全力で牽制することでこの場を支配していたと思い込んでいた。
そう、ヤツは思い込んでいただけなのだ。確かに、この場には自由に動ける人物は居ない。……しかしこの場にはもう一つ、動くことの出来る味方がいた。
「このクソ馬ッ……!? 死んだはずじゃなかったのかッ!?」
そう。
その背に突進する、無垢な純白と清浄な青の化身・ミストユニコーン……ベリーが、残っていたのだ。
……結局、デイドは最後まで気付けなかったのだ。俺とユミルの動向に意識を向け続けていたが余りに、遠方から歩みを続けていた、自分が仕留めたと思い込み続けていたその仔馬の存在に。
「ぐ、うっ……!」
主人への報復という怒りの角が、デイドの後腹部に深々と突き刺さる。
しかしそのダメージは微々たるものだった。もともと非好戦的モンスターであるベリーの非力なSTRと、鍛え上げられたレベルと軽鎧や衣類をきっちり装備したデイドのDEFには愕然とした差があるのは目に見えていた。
結果、その突進はデイドの上体を揺さぶらせるだけに終わった。
――だが、俺にとってはそれだけで充分だった。
「オォッ!!」
俺はデイドの意識がベリーへと向けられた一瞬の隙を突き、胸へと突きつけられていた槍の矛を手刀で叩き払い、ブーツの靴底の土を強く踏みつけてまっすぐデイドへと肉迫せんと駆け出した。
長大なリーチに加え、デイドの実力と毒も相まって脅威であった蛇矛だが、こうして槍の矛先よりも内側に接近さえ出来れば、あとはこちらの思うまま
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