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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
47:その勇姿と共に
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の空気を荒く振るわせる。

「どいつもこいつも、なぜ理解しやがらねぇ!? オレは正しいッ!! それがどうして分からねぇんだッ!!」

 ……その通りだ。
 デイドもまた、ある意味では正しい。
 実際のところ彼はユミルに毒と合わせての致命傷を負わせたが、オレンジの彼に攻撃したところでデイドのカーソルは変色などはせず、元より善良色であるグリーンのままだ。
 ユミルは罪を犯した犯罪者。彼はそれを、俺とは違う方法で裁こうとしているだけなのだ。
 グリーンがオレンジを倒すことに、なんのデメリットも発生しない。この場合に限ってはグリーンは殺人者(レッド)扱いされることは間違っても無く、むしろそれを褒め称える人すら出てくるだろう。恐らくは、デイドの追い求めている最前線の攻略ギルド入団の際にも、非常に有効な肩書きとして実力を証明してくれることになるはずだ。
 罪を持つ者を殺すことに対し、この世界は……なんの躊躇いも課してはいない。
 ――しかし、それらはあくまで「システム面」ではの話だ。
 デイドの言は、カーディナルシステムが施したこの仮想世界でのルールに反していないだけに過ぎない。
 しかし、現実は違うのだ。
 たとえ虚構の世界であろうと、その者が殺した「罪」はその者の魂へと還っていく。規律も摂理も倫理も関係無く。
 この世界の全ての出来事は、現実と何ら変わり無いのだ。全ては己が背負わなくてはならない。俺も、ユミルも、デイドも。
 だが、今のデイドはそれが理解出来ないのだろう。理解できないからこそ、理解しようとしているからこそ、理解するのを恐れているからこその凶行……だと俺は思いたい。
 されど今の俺には、彼にそれを説く余裕などは無かった。

「デイド、そこを退けっ……!」
「動くんじゃねぇ!」

 ユミルへと歩み寄ろうとした瞬間、デイドが槍を突きつけて俺を制した。

「どの道、あのガキはもう助かりゃしねぇ……! テメーにゃそこでガキが毒で確実にくたばるのを待っててもらうぜ……! 自分が可愛いけりゃそのまま大人しくしてろ……テメーも同じ目にあいたくなけりゃなァ!」

 デイドは俺のすぐ胸の前にあった槍を真横に薙ぎ払い、俺の手元に刺し立っていた剣を遠くに弾き飛ばした。ジャリンと音を鳴らせながら愛剣がユミルの真似をするかのように転がり、やがて草むらに横たわって姿を暗ませる。
 これで奴は、俺が反撃に出るには背にあるもう一本のボロボロの剣を抜くことでしかできないと思っているのだろう。他の者は全員がマヒ状態で動けず、まさにユミルの絶体絶命の状況。
 ……しかし、たったそれだけで俺()の怒りの意思は、微塵たりとも冷めやられたりはしない。

「デイドッ……お前が理解されないのは当然だ……! なにせお前には、周りには誰も
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