47:その勇姿と共に
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《・》けた。
『な……』
ユミルを除いた俺たちの声が重なる。
しかし、理由はすぐに分かった。
ユミルの指が、半透明にっていた。
いや……その体全体が、薄く透けて青白く輝いていた。
同時に、ピー、という平坦なシステム音が鳴り、ユミルのHPバーが消失した。
――ユミルのHPが、ゼロに、なっていた。
「――だけど……ちょっとだけ、遅かったみたい……」
人差し指をすり抜けていたフレンド申請ウィンドウも同じく消失し、ユミルはその手を力無く降ろした。
「…………嘘、だろ……?」
俺は声にならない声で呟いていた。
ユミルの体の輝きが増し、ノイズも混じり始める。
これからあと少しでユミルの体はポリゴンに霧散し、そのさらに十秒後にはナーヴギアから発せられる高出力マイクロウェーブで脳を焼き切られてその短い生を終えてしまう。
「や、やめろっ……」
こんなことがあってたまるか。
自分勝手なことだとは分かってる。
だが、ユミルはまだこんな小さな子供……。なにもかもがこれからではないか。
こんな……こんな最期があってたまるものか……!
「やめてくれっ……!」
しかしそう考えている最中にも、俺の腕の中のユミルは存在感だけでなく、腕にかかる重さまでもどんどん希薄になっていく。
そして思い出す。
――ディアベル。サチ。黒猫団のみんな……。それぞれの最期が走馬灯のように蘇り、今目の前のユミルのそれと重なっていく。
「――う、うわぁぁぁあああっ! い、逝くなっ、逝かないでくれユミルッ!!」
「キリト……」
それらを堪えることを、もう俺には出来なかった。
叫び声と共に俺の目にも涙があふれ、ただでさえ薄くなっていくユミルを移す視界をぼやけさせていく。
ユミルの存在を感じたいとう衝動を我慢できず、手をその顔に添える。しかしその手にかかるユミルの綺麗な金髪すらも透けて俺の手の肌色が見えるという事実だけが俺の胸へと突き刺さる。
俺はあれから何も変われていなかった。性懲りもなく、今度は、この腕の中にいるユミルをも失おうとしている。
襲い来る壮絶なまでの無力感に、涙声を荒げてしまうことを抑えられなかった。
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「俺は……また守れなかった……! 大事な仲間を! 大切な人を……! 俺は、俺はっ……!」
「――泣かないで、キリト」
HPバーと共に麻痺などのデバフアイコンも消失した、ユミルの腕が今は滑らかに伸び、そっと俺の頬に添えられた。
「ボクはね……今、とっても幸せだよ。キリト」
もう苦しみの無くなった、その薄れゆく体以上に透明感のある声で、ユミルは言っ
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