47:その勇姿と共に
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やかな微笑みで。
しかし傍にアスナとともに膝を着いたリズベットは頭をぶんぶんと横に振った。
「いや……あたしは嫌よっ……!」
「リズ……」
リズベットの目にも涙が浮かんでいた。
「こんな……こんなのってないわよ! 本当にユミルはここまでなのっ……!? だ、誰か解毒ポーションを持ってないの!? ……そうだ、ピナのヒールブレスはまだなのっ!?」
俺達は返す言葉もなく、またピナも力及ばずそうに、きゅるぅ……と小さく鳴いた。
彼女もまた頭では分かっているはずだ。レベル9もの解毒ポーションはこの場の誰も持ってないことも、ピナのヒールブレスもクールタイム中で使えないことも。
しかし、そう言ってしまいたい気持ちは俺達全員一緒だった。俺たちに出来ることは、ユミルの最期を見届けることだけだったのだから……。
「そんな顔しないで、みんな……」
ユミルが眉を八時にして僅かに苦笑した。
「ボクはね、キミ達にも感謝しているんだよ……。ボクがもし、あのまま死神のままだったら……マーブルと出会わずに狂ったままだったら……きっととっくに野垂れ死んでた。だれもいない森の中で、たった一人……。でも、今のボクはこうしてマーブルに伝えたかった事を伝えられて、キミ達に見届けてもらえて……それで充分、幸せな最期だよ……」
ここでユミルは、チラリと俺たち以外の場所へと目を移した。
「それにね、見届けてくれる子は、キミ達だけじゃない……大切な……ボクの友達もいる……」
「え……?」
するとそこには。
「ベリー……!」
ゆっくりと近づいていた白銀の仔馬が、ようやくユミルの隣へと辿り着いていた。彼もまた、真紅の瞳で彼を見下ろしていた。
ユミルは震える手でその顎に手を伸ばす。ベリーは何も臆することなくその手にすり寄った。
「ベリー……ごめんね。ご主人様らしいこと、あんまりできなくて……。傍に、いられなくて……。キミがもっとボクに甘えたかったの、分かってたのに……キミを守ることに必死で、ずっと森の奥に匿ってて……ごめんね……」
ユミルはその手を降ろし、今度は俺を見た。
「キリト。もう一つ、お願いしていいかな……?」
「なんだ……?」
ユミルはベリーのHPバーとデバフアイコンをチラリと見た。
「ベリーの毒は、ボクと同じディープ毒じゃない……。解毒結晶で治してあげて。そしてボクが死んだら……あとはこの子を、この子の思うまま、生きさせてあげて欲しい……」
「……ああ、分かった……」
ユミルよりもずっとレベルが下の毒とはいえ、ベリーのHPももう残り少ない。俺は再びポーチから解毒結晶を摘まみ出し……
と、そこでベリーが俺を見つめた。
何かを訴えたげにじっと見つめたあと
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