47:その勇姿と共に
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れちゃってる……。それに……」
今度は俺の頭上のあたりを見上げた。
「今はキリトも、ボクとおんなじオレンジだね……。なんでだろ……不謹慎だけど……ちょっとだけ、嬉しいな……」
俺はその言葉に良い返事をしてやることができなかった。
今も死へと一歩一歩近づきつつあるのにも関わらず、こんな見せたこともない笑みを向けてくるこの子にかけてやるべき言葉を、俺は持ち合わせていなかった。言葉が頭に浮かんでこないのが悔しかった。
それでもユミルは満足そうな薄い笑みを浮かべたまま俺に抱かれ、そして倒れるマーブルの傍へと辿り着く。俺はユミルをマーブルの隣にその身を横たえた。
「ありがと……」
マーブルのもとには、麻痺でロクに動けないアスナに肩を貸したリズベットも来ていて、俺と同じくユミルにかける言葉を見つけられない顔のまま彼を見届けていた。
「ふ、うっ……!」
ユミルは再び歯を食いしばって麻痺である中、驚異的な意志力で上体を起こして、マーブルの頭を自分の膝の上に乗せ、その頬に手を触れる。
「マーブル、起きて……」
しかし、そのマーブルは目覚めない。
「起きてってば……これがドラマや小説だったら、ここはちゃんと目覚める場面だよっ……?」
今度はその頬を軽くぺちぺちと叩き始める。しかし深い昏倒なのか、目覚める様子はない。
「起きてよ、ねぇマーブルッ……」
次第に、ユミルの声が涙に濡れ始めた。
やがて……ぽた、ぽたとその涙がマーブルの頬に水滴が滴った。
そして……
「――…………ごめんねっ……!!」
ユミルは覆い被さるように、気絶したままのマーブルの肩をかき抱いて、ぎゅっと目をつぶって言い放つ。
「今までひどいこと、いっぱい言ったよね……!? いっぱいしちゃったよね……!?」
その瞑られた目から止めど無く涙が溢れ出す。
「ホントにごめんね、マーブル……! ホントはボク、すごく嬉しかったのに……――ボク、そんな自分の心にさえ、嘘ついてたっ……!!」
そのまま声を上げてしばし泣き続ける。しかし、その体が徐々に苦しそうに揺れ始めた。
「く、う……」
ユミルは膝にのせていたマーブルの体をそっと地面に戻し……そしてそれが振り絞っていた最後の力だったかのように、起こされていた上体がドサッと仰向けに倒れた。
「ユミルッ!!」
俺達は駆け寄り、今度は俺がユミルの肩を抱き起こした。
そのHPバーは既に半分を切り、イエローに染まっていた。
「…………キリト、みんな……ありがとう。ボクに、マーブルに言いたかった事、言わせてくれて……」
ユミルは順番に俺達を見上げて言った。涙こそ流れているが……悔いのない、どこか晴れ
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