一閃の光
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
高嶺 雪羅───彼は事故に遭遇する前、高校で野球をしていた。決して強くはなかったその高校はせいぜい二回戦突破がやっとだった。
それでも彼は構わなかった、何故なら彼は野球を誰よりも愛していたのだから───。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
雪羅が目を覚ますとそこはいつもの自分の部屋だった。
「久しぶりにあんな夢見たな・・・」
彼が見た夢、それは昔のことだった。焼けるような陽射し、ひときわ熱を上げるマウンド、頬を伝う汗、手には硬式の野球ボール、それが離れた時に感じる指先の感触。それは二年以上経った今でも覚えている。
棚に置かれたピッチャー用のグローブ、その隣には野球ボールが置かれている。
「・・・・・」
雪羅はボールを手に取るとおもむろに手の上で遊び始める、クルクルと回るボールは彼の掌、手の甲、指先へと滑っていく。
やがて回転は止まり、手の中に収まった。
車椅子で道場まで行くと、竹刀を振った。
「はぁ、はぁ・・・」
「どうだ、調子の方は?」
「親父」
道場の入り口には宗四郎がおり、雪羅の姿を見ていた。
「型の方は習得できそうか?」
「わからない、正直ギリギリだ・・・」
「その割りにはほとんど完成してるじゃない♪」
「母さん!」
宗四郎の後ろから沙織が顔を出す。
「今日、行くの?」
「・・・ああ」
「そう・・・、ならあなたの思うがままにやりなさい!!」
沙織は親指を立てる、宗四郎は小さく笑みを浮かべる。
雪羅も小さく笑みを浮かべると、
「はじめからそのつもりだ!!」
同じように親指を立てた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
ALOの中心にして最大の都市《アルン》。そのさらに中心に位置する《世界樹》。その中では壮絶な戦いが繰り広げられていた。
「ドラグーン隊!ブレス攻撃用ー意!!」
「シルフ隊、エクストラアタック用意!!」
ケットシーの龍騎士たちは陣形を組み、シルフ部隊も陣形を組み剣を構える。
「ファイアブレス、撃て!!」
「フェンリルストーム、放て!!」
その合図と同時に飛竜は火球を、シルフ部隊の剣がグリーンの雷光を放つ。放ったそれは目の前の無数の白騎士たちを貫き、数を減らしていく。
しかし───、
「クッ!キリがない!!」
いくら数を減らしても白の騎士は次々と出現していく。
「このままでは・・・」
いたちごっこも良いところだ・・・。そう思った時───、
「おーおー、これまた随分と多いことー♪」
「ッ!君は!!」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ