暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜十一番目のユニークスキル〜
唯一無二の不確定因子
第十二話 白い背中
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
かったな」




 彼はそう言って、ゆっくりと肩越しに振り向くと、まっすぐにアリスを見る。




「遅くなった」




 アリスの心がなにか温かいもので包まれていく。同時に喉の奥から堪えきれない嗚咽を漏らしていた。


「遅いです・・・・・・本当に遅いですよ・・・・・・どれだけ恰好をつければ気が済むんですか・・・・・・」


 その声は涙で掠れていた。彼女の瞳からは涙があとからあとから溢れ出ている。


「悪かったよ。ま、もうちょっと、かっこつけさせてもらうぜ」


 いつもの力強く、ふてぶてしくも、子供のような笑みを、にっと浮かべた。それにつられてアリスも涙を流しながらもクスッと笑う。


「・・・・・・早くしてくださいね」


「まかせとけ」


 リオンは左手を少し上げ、サムズアップすると、こちらに向けていた首をもとに戻した。
 その時、アリスはあることに気付いた。


「リオン。あなた武器は? まさか・・・・・・」


 いつも腰に下げている小太刀がなかった。
 ここは圏外である。武器を身に着けないなどありえない。そして、先ほどの現象から導き出されたのはあるスキルだった。


「ああ。さっき『代償』を使ったからな」


 その言葉を聞いて、息を飲んだ。
 リオンの口から出たのは、アリスが予想していたものと同じスキルだったからだ。


「・・・・・・あのスキルは『なるほどな。だからか』ッ!!」


 アリスの言葉は聞き覚えのある声によって遮られた。
 そちらに目を向けると、ゆらりと死神のように立ち上がるPoHがいた。


「もう麻痺が解けたか」


 その声は先ほどまでとは打って変わり、氷のような冷たさを帯びていた。


「てめぇらが胸糞わりぃラブシーンをやってたおかげでなぁ」


「そうか。で、お祈りはもうすんだか?」


 リオンはPoHの挑発も気にせず、ただ淡々と話していた。その態度が気に入らなかったのかPoHは声を荒げた。


「ああ? お前勝てると思ってんのか!? 武器を失った状態で、そこの足手まといも連れながらよぉ!!」


「リオン! 麻痺を解いて下さい! 私も―――『大丈夫』え?」


 アリスの声を遮った、リオンの一言はPoHの時とは違い、温かかった。同時に力強く、不思議と安心ができるそんな声だった。
 そして再びリオンの唇が動き、静かな声が流れた。


「PoH。どうして俺が『代償』を使ったかわかるか?」


「ハッ、知るかよ」


「理由は二つ。一つは、痛みがないこの世界に唯一ある不快感を与えるため。このスキルは、武器を失う代わりに状態異常とと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ