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ソードアート・オンライン〜十一番目のユニークスキル〜
唯一無二の不確定因子
第十二話 白い背中
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かったな」
彼はそう言って、ゆっくりと肩越しに振り向くと、まっすぐにアリスを見る。
「遅くなった」
アリスの心がなにか温かいもので包まれていく。同時に喉の奥から堪えきれない嗚咽を漏らしていた。
「遅いです・・・・・・本当に遅いですよ・・・・・・どれだけ恰好をつければ気が済むんですか・・・・・・」
その声は涙で掠れていた。彼女の瞳からは涙があとからあとから溢れ出ている。
「悪かったよ。ま、もうちょっと、かっこつけさせてもらうぜ」
いつもの力強く、ふてぶてしくも、子供のような笑みを、にっと浮かべた。それにつられてアリスも涙を流しながらもクスッと笑う。
「・・・・・・早くしてくださいね」
「まかせとけ」
リオンは左手を少し上げ、サムズアップすると、こちらに向けていた首をもとに戻した。
その時、アリスはあることに気付いた。
「リオン。あなた武器は? まさか・・・・・・」
いつも腰に下げている小太刀がなかった。
ここは圏外である。武器を身に着けないなどありえない。そして、先ほどの現象から導き出されたのはあるスキルだった。
「ああ。さっき『代償』を使ったからな」
その言葉を聞いて、息を飲んだ。
リオンの口から出たのは、アリスが予想していたものと同じスキルだったからだ。
「・・・・・・あのスキルは『なるほどな。だからか』ッ!!」
アリスの言葉は聞き覚えのある声によって遮られた。
そちらに目を向けると、ゆらりと死神のように立ち上がるPoHがいた。
「もう麻痺が解けたか」
その声は先ほどまでとは打って変わり、氷のような冷たさを帯びていた。
「てめぇらが胸糞わりぃラブシーンをやってたおかげでなぁ」
「そうか。で、お祈りはもうすんだか?」
リオンはPoHの挑発も気にせず、ただ淡々と話していた。その態度が気に入らなかったのかPoHは声を荒げた。
「ああ? お前勝てると思ってんのか!? 武器を失った状態で、そこの足手まといも連れながらよぉ!!」
「リオン! 麻痺を解いて下さい! 私も―――『大丈夫』え?」
アリスの声を遮った、リオンの一言はPoHの時とは違い、温かかった。同時に力強く、不思議と安心ができるそんな声だった。
そして再びリオンの唇が動き、静かな声が流れた。
「PoH。どうして俺が『代償』を使ったかわかるか?」
「ハッ、知るかよ」
「理由は二つ。一つは、痛みがないこの世界に唯一ある不快感を与えるため。このスキルは、武器を失う代わりに状態異常とと
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