決闘-ファイト-
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「やはり、この星は面白い。姿形は偶然にも地球人にそっくりだが、そんなことはどうでもいい」
モニターから地表の街や村の映像を眺める一体のクール星人はそう言うと、別のもう一体のクール星人も言葉を放った。
「そうだ。我々が求めているのは…この星の知的生命体どもの持つ特殊な力だ。それを科学的視点で解析を行う。そうすれば、我らクール星の軍事力は飛躍的に上昇するやもしれない」
「さっき我らを邪魔し、せっかくの標本を取り逃がした原因となった『奴』もここまでは追ってこれまい。くく、狩り放題だな」
「これより、標本採集に入る。全員配置に付け!今度こそ標本を手に入れるのだ!」
円盤すべてを指揮するクール星人のリーダーがそう命じたとき、クール星人の円盤軍団は怪しげな飛行音を鳴らしながら、エスメラルダへと近づいて行った。
「諸君、決闘だ!」
風と火の塔の間の中庭、ヴェストリの広間の真ん中にはサイトとギーシュが互いに向き合い、その周りには娯楽目的で集まった男女問わず多くの生徒達により囲いができていた。ギーシュの叫びにより、その観客達から歓声が響く。
「逃げずに来たことは褒めてやろう!」
「逃げるわけないだろ」
こんな奴相手に逃げたら男が廃る。サイトは拳を鳴らしながら気合を入れる。
「ギーシュいい加減にして!決闘は禁止されてるじゃない!!」
ルイズはそんな観客達の間を潜り抜けて、開けた場に出るとギーシュに向かって怒鳴りつけた。
「それは貴族同士での話だろう?彼は平民、何の問題もない」
「それは!……今までこんなことってなかったから……」
「おやルイズ。もしやあの平民に、清らかな乙女心をときめかせているのかい?」
つまり、あの平民に惚れているのか?と言っているのだ。ギーシュの冗談なのは間違いないだろうが、言葉に詰まっていたルイズは彼の一言に真っ赤になる。
「な、なに言ってるのよ!自分の使い魔がボロクソにやられるのを黙って見てられるわけないじゃない!」
「ボロクソね…」
サイトはよほど自分が信用されていないことを悟る。
「ふっ、君がなんと言おうと決闘はすでに始まっているんだ!」
だが彼女の抗議むなしくギーシュは決闘を取り行おうとした。
「ちょっとルイズ!あの使い魔止めてよね!」
困っていたルイズは、突然後ろから声をかけられ振り返った。声の主はさっき泣いて中庭から去ったはずのモンモランシーであった。その理由は、他の生徒達とは違いちょっとした後悔によるものからで、まさかギーシュを振ったらこんな騒ぎになるとは思わなかった。モンモランシーとしては自分の香水が原因で恋人が(すでに元カレだが)八つ当たりで別に悪くもない平民をボロクソにする、というのはあまりいい気分のするものではなかった。だから結局この広場にやってきていたのだ
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