決闘-ファイト-
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「…いくぜ」
瞬間、サイトの姿が消えた。一体どこへ!?誰もが辺りを見渡してサイトの姿を探す。だが、サイトの姿は影も形もない。と思ったその途端。サイトが、ワープしたのように突然ギーシュの眼前に剣を向けて立っていた。突如の事態に固まりかけたギーシュだが、今がチャンスと見た。自分とワルキューレの間に彼がいる。今の彼は背中ががら空きだ。今なら敢えて自分を囮にすることで後ろを突ける。
「今だ、やれ!」
全く脅かしてくれる。勝利を悟ったギーシュはワルキューレにサイトを攻撃するよう命令した。だが、ワルキューレは動かない。一体たりとも、6体全てがピクリとも動かないのだ。早く動け!そう言おうとした時だった。ワルキューレの体が崩れて初めて、最期に青銅の塊の山が出来上がったのだ。
まさか、たった…たった一瞬ですべてのワルキューレを細切れにして見せたと!?
「…続けんのか?」
結構体力を使ったためか、息が荒くなったサイトはギーシュを睨み付けながら尋ねる。
「…いや、まだだ!まだ僕は負けては…!」
ギーシュは往生際悪く負けを認めなかった。サイトが自分に返答を求めている間にサイトの目の前から下がって薔薇の杖を彼に向ける。
「今から僕の真価を…!」
真価を見せてやるとは言っているが、それは虚勢…ただの強がりでしかなかった。
「あの少年、ミスタ・グラモンを圧倒していますね…」
「はてさて、どうしたものかのぅ…」
オスマンとコルベール、そしてロングビルは円境越しに見ていた、広場で起こった出来事に困惑していた。
この決闘、ギーシュはまだ負けを認めていないが、はっきり言ってサイトの勝ちとなっているのが目に見える。黒髪の少年が、目にも見えぬ剣捌きで青銅のゴーレムを全滅させた。もしかしたら、この世界において伝説の存在『ガンダールヴ』かもしれない。
「学院長、彼の事は全て王宮に報せるべきでは?」
知らせるべきと思ったコルベールであったが、オスマンはそれを否定した。
「ミスタ・コルベール、このことは他言無用じゃ」
「何故です!?千人ものメイジでさえ歯がたたなかったあのガンダールヴはまさに世紀の大発見ですぞ!」
「だからこそじゃよ。伝説の使い魔らしき存在を手に入れたら、戦好きの軍人どもは喜んで戦争をおっ始めるやもしれん。この事は教師、生徒や使用人共々秘匿するのじゃ。よいな?」
「な、なるほど…はは!学院長の判断恐れ入ります」
コルベールは、下手をすればあの平民の少年が戦争のための道具にされかねなかったことに気づき、自身の先見の目の足りなさを感じ、少年の力については口外しないことを決める。
とにかく状況が状況なだけに、情報を外部の人間に知られないように手を打った。
だが、その時だった。
ビイイイィィィ!!!!ズオォォォ
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