決闘-ファイト-
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スとヒカリの剣捌きを真似た感じで振っただけだってのに…いや、それよりも!)
剣を持った時からだ。手の甲のルーンとやらが、不思議な輝きを放っている。
そのせいか、体が軽くて非常に楽になっていたのだ。
まるで自分が空気か何かになったかのように、重みを感じない。
でも、それだけじゃない。今の自分にできないことはなにもない。怖いくらいの自信がみなぎっていた。
これなら…行ける!
「く!たかが一体倒したくらいで!」
ギーシュは残りの造花の花びらを全て舞わせ、今度は本気だと言わんばかりに各々槍や剣、盾などを武装させた6体のワルキューレを造りだし、それすべてを一斉に彼に向け突撃させる。
一体のワルキューレが槍を突き出す。サイトはそれを、後ろに飛んで避けた。そう、飛んで避けたまでは普通だった。だが、飛んだその直後からが、そうでなくなっていた。
―――!?
後ろに飛んだとたん、地面が離れて、離れて…気が付いたら5メートル近くも高く飛んでいたのだ。スタッと着地すると、ヤジの生徒たちが騒ぎ出した。
「お、おい!あの平民5メイルは飛んだぞ!!」
「まさか、メイジだったのか!?でも杖は使ってないし…」
「じゃあエルフなのか!?」
「い、いったいどういうことなんだ…!」
ギーシュは激しく動揺していた。ただの無能な平民。それだけのはずだった目の前の男。だが、彼は本能的に理解していた。しかし心から認めることはできなかった。
(あいつ、こんなに…!?)
ルイズもこれには目を奪われていた。ただの平民かと思っていた。でも、そうではなかった。魔法を使ってはいない。でも、それでもあいつは人間離れした跳躍力で5メイル飛んで見せたのだ。『ゼロ』と罵られた、自分とは違って…。
(なんで俺、あんなに飛べたんだ…!?俺、一体どうなってんだ!?)
サイト自身、さっきと同じように…いやそれ以上に驚いていた。たった今体感した、自分の驚異的な身体能力に。
…いや、そんなことはどうだっていい。これが今の自分の力だというのなら…このムカつくキザ野郎をぼこして後悔させてやるまでだ!
「……おい」
静かに、怒りをにじませた声でサイトはギーシュに言葉を放つ。
(な…なんだこの平民?急に様子が…?)
ギーシュは、さっきまで侮っていたこの平民に、とてつもない恐怖とプレッシャーを肌で感じ取っていた。信じられなかった。たかが魔法も使うことのできない下級民族、平民の癖に、名門貴族グラモン家の嫡子たる自分が、恐怖している!?一体、どこからこんな覇気を出していると言うのだ。まるで、自分が巨大な何かに見下ろされている蟻のようだ。
「てめえ…覚悟できてんだろうな?」
剣を逆手に持って拳を引くサイト。素手で殴りかかる気か。それならばすぐに青銅の盾を作って防げば問題はない
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