決闘-ファイト-
[11/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
とははっきり言って、俺の故郷を何度も攻めてきた侵略宇宙人と変わらねえ…!」
「それは…」
その宇宙人という単語の意味がわからなかったが、少なくとも悪意ある存在のことを言うのだろうと悟ったルイズは、言葉を詰まらせた。
魔法の恩恵がなければ貴族…メイジは生きていくことはできない。それがこの世界での価値観だ。だが、だからといって弱き者を見下したり暴力をふるうことなどが許されていると言ったら否だ。ここ最近のトリステインは、魔法が使えると言う自尊心と古いしきたりと伝統にこだわるあまり、そう言った人として当たり前なことを忘れる傲慢な貴族ばかりが増えて国を腐敗させている。せっかく召喚した使い魔がただの平民だった腹いせに、サイトへのきつい仕打ちをしてしまったことを恥じたルイズも、自分がその一人でもあると思うと恥ずかしくなった。
「…ごめんな」
「えっ?」
い きなりのサイトの謝罪の言葉をルイズは先ほど同様理解できなかった。
「シエスタから聞いたよ。お前男子生徒に絡まれてたあの子を、懲罰覚悟で助けたんだってな。座学でもトップってことはそれだけ努力してたこともさ。なのに、必死になって頑張ってたお前を他の奴らみたいにゼロってバカにして」
「こ、こんな時になにを…」
あのメイド、余計なことを…と照れる思いを感じながらもルイズはサイトの方に手を置いていた。
「だからよ、償いってわけじゃねえけど、そんな頑張ってるお前をバカにしたこのキザ野郎と他の奴らの分も含めて、ぶん殴ってやるぜ!!」
そう叫びサイトはギーシュのワルキューレに向かって走りだした。
「ちょ、ちょっと待って!そんなことしなくていいわよ!やめてぇ!!」
ルイズの悲痛な叫びの中、サイトは突っ込んだ。だが生身で敵うはずなく青銅の拳を顔や体中に食らいボロボロになっていった?
…はずだった。
ガス!!
「っぐ…!!」
サイトはワルキューレからの顔面パンチで鼻血を出してしまう。
「終わりかい?なんだったらごめんなさいの一言で手打ちにしてやってもいいんだぞ?」
「うるせぇ 、休憩中だ……」
ハンカチで鼻を押さえながらサイトは鼻血を拭く。ちょうどポケットにハンカチを入れっぱなしにしていたのでちょうどよかった。
「お願い、もうやめて。もういいじゃない、あんたはよくやったわ。こんな平民見たことないわよ」
サイトの血を見てゾッとしたのか、心配して彼の傍に駆け寄ったルイズの鳶色の瞳には涙が浮かんでいた。会ってから高慢な態度をとり続けてきた彼女の泣き顔に、サイトは動揺しただけでなく、思わず何かに引き込まれる感覚を覚えた。
「泣いてる…のか…!?」
「な、泣いてなんかないわよ!」
気付いたら涙目だったことにルイズは恥ずかしくなって顔を真っ赤にするとサイトの頭をバチンと叩く。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ