主-ルイズ-
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よ。どうせ、固いパンと不味いスープしか用意しないんだろ?そもそも俺はお前みたいな最低女に従う義理もねえよ!この『良心ゼロ』のルイズ!!」
溜まり溜まった鬱憤のまま罵詈雑言を浴びせたサイトは、ルイズの前から立ち去って行った。
最低女、良心ゼロ…。
それは、ルイズにとってどれだけ棘を感じさせる言葉だったことか。その場に立ちつくし、目元が見えなくなるくらい頭を垂れて床を見つめるルイズの声は、もはや涙声だった。
「……何よ……使い魔の…癖に…平民の…癖に……」
そんなこと…言われなくてもわかってるわよ!そう叫びたかった。
何一つまともに言い返せずに使い魔に手を挙げた自分が、とてつもなく情けなかった。
名門の実家出身でありながら、幼い頃から魔法が使えなかった。家族や召使たちからの失望や哀れみの眼差しを何度向けられたことか。学院に来てから魔法を勉強すれば、何かが変わるかもしれないとも期待していた。でも待っていたのは、魔法が相変わらず使えないという現実と、それによる生徒たちからの嘲笑。屈辱に耐えながら、魔法が使えるようになるまでは座学でトップクラスの成績を手にするも、それでも魔法は使えないまま。
やっと成功できた魔法で呼び出されたのは、ドラゴンでもグリフォンなんて立派なものでもなく、キュルケのようなサラマンダーでもない。それどころかどこにでもいそうな馬の骨のごとき平民の男。まるで現実がいつまでも自分を無能のゼロだと嘲笑っているようで腹が立った。
その苛立ちを…無理やりここに連れてきてしまったなんの悪さもしていなかった人間に、貴族として導く対象である平民にぶつける。自分の失敗のツケも押し付ける。
ルイズが一番気づいていた。
サイトの言う通り、貴族以前に……自分は人間として最低なことをしていた。名家生まれのプライドゆえに、平民を呼び出したという結果も、八つ当たりの罪も認めたくなくて…無関係だったはずの平民に辛く当たってしまっていた。
きっと両親や姉たちも、今の自分を見たらがっかりしていたことだろう。
そう思うといっそう自分が情けなくて、みっともなくて…
使い魔から見捨てられたのも同然だ。
メイジ失格…ルイズは初めて自分をそう罵った。?
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