才人-ジ・アース-part1/物語の始動
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たころも、そして魔法学院に入学した今でも魔法成功確率ゼロ。そのせいで着いた二つ名が…『ゼロのルイズ』。
彼女はヴァリエール家出身であることを誇りに思っていることもあり、とてもプライドが高い。こんな屈辱的な二つ名など、呼ばれるたびに腸が煮えくり返りそうだ。
「ミス・ヴァリエール、今日はそこまでにした方が……」
この日、二年生になった彼女のクラスは春の使い魔召喚の儀式を執り行っていた。他の皆は鳥・ウサギ・モグラ…中にはドラゴンを召還するなど様々な使い魔をものにした。だが、ルイズだけたった一人、召喚を成功させていなかった。監督していた教師『ジャン・コルベール』が止めようとするが、当のルイズは止めようとしない。
「あと、一回やらせてください!!」
そう言って、再び呪文を唱えようとする。このまま引き下がっては、それこそヴァリエール家の誇りを傷つけるだけ、家族にも苦いものを呑 ませる思いをさせるだけだ。
「宇宙の果てのどこかにいる私の下僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!私は心より求め、訴えるわ。我が導きに答えなさい!」
杖を振り下ろすと同時に起こったのは、やはり爆発。
「『ゼロのルイズ』の奴また失敗しやがったぜ」
「期待するだけ無駄無駄無駄ァ!って奴だな!」
「あ〜あ、なんか見飽きてきちゃった。私先に校舎に戻っていいかしら?」
続いて周りの生徒達の嘲笑う声が上がった。ルイズは膝をつき絶望が彼女の中に広がり始めた。
しかし…今回はこれまでと違っていた。なぜなら…。
「おい!何かいるぞ!」
「あのルイズが、成功したって言うの!?」
ヤジの生徒の声が飛び交う。ルイズは顔を上げてもくもくと沸くその煙幕の中を凝視する。何か、影が見える。煙の中に何かいるのだ。間違いない。
ルイズの心は、踊った。やった!成功したんだ!これでもう、成功率ゼロだなんて呼ばせない!
(やっと出てきてくれる私の使い魔、一体どんなのかしら?グリフォンかしら?それともドラゴン!?)
残念な胸をわくわくさせながら煙の中を凝視する。しかし、彼女の予想を見事に裏切る結果だった。出てきたのは、
(う、嘘………)
青と白のパーカーにジーンズを着た黒髪の少年だった。
ルイズは絶望しそうになった。まさか、こんな…こんなのが…。
(そんな…こんなそこらへんに転がってそうな平民が私の使い魔!?)
頭がくらくらしてきた。恰好からして変だし、見るからにこいつは貴族じゃない。ただの平民の少年だ。今の爆発の世界なのかそれとも召喚によるせいなのか、彼は気絶している。何かしら物が入っているのか、奇妙なデザインのカバンもある。ドラゴンとかなら戦闘や移動の役に立ったりはできるはずだというのに、自分にはこれか!始祖の意思だとしたら、不遜だとは承知の上でも恨みたくなる。
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