第一部
第零章 プロローグ
消失-ヴァニッシュ-
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応戦したが、発光体は全く動じずシュウにただまっすぐ近づいて行った。
「シュウ、逃げろ!」
孤門の声が轟く。返事をする間もない。シュウはバイクを反転させてその発光体の反対方向、自分がたどってきた町の方角へとバイクを走らせた。
「発光体を黒崎に近づけるな!撃て!」
「了解!」
和倉の命令により、4人のナイトレイダーたちはシュウを襲う発光体に向けてディバイドランチャーを乱射し始めた。しかし、発光体の速度は速くなっていき、その分だけディバイドランチャーにもあたらなくなっていく。せっかく当たった弾も、まるで吸い込まれるように消滅してしまったのだ。
「効いてない!」
「追いましょう!」
発光体の防御力によるものかどうかわからないが、自分の自慢の射撃が通じないことに衝撃を覚える詩織と、冷静に何をすべきかを叫ぶ凪。相手が小さすぎてクロムチェスターは使い物にならないし、基地からはごく近隣の区域だから自分たちはここまで走りのみで駆けつけてきた。頼れるのは自分たちの足だけ。四人は足を止めないまま、銃器を連射し続けていく。だが発光体は止まることを知らず、シュウを追い回していく。
(こいつ、さっきからどうして俺だけを狙うんだ!?)
恨めしそうに後ろを振り返りながらシュウは発光体を睨む。ビーストという枠組みに勝手に入れてしまっているせいなのか、なぜこの発光体が仲間たちに牙を向けようともしないのか疑問に思っていた。自分以外に危害が及ばないだけ今のところはましかもしれないが、もし自分がこいつにやられたりしたら、他の連中にも危害が及んでしまいかねない。
状況を打破するために、何か手を考えねば。だが、その間ももはや与えられなかった。
「!」
その白い発光体は、最早神速のごとき速さであっと言う間にシュウの乗るバイクを飲み込んでしまったのだ。
唖然となるナイトレイダーたち。だがすぐ我に返り、シュウの消えたちょうどすぐのポイントへ接近した。
「シュウ!」
シュウの名を呼ぶ孤門だが、返事はない。代わりにかえってきたのは、ばさばさと夜風に吹かれる木々の揺れる音だけだった。
「黒崎君、返事をして!」
ならば通信を入れてみようと、詩織はパルスブレイカーを起動させて彼と連絡を取ってみたものの、パルスブレイカーからは『通信不可』と赤い文字が表示されるだけだった。
『発光体は消失しました。これ以上追っても黒崎隊員の所在は掴めません。ナイトレイダーAユニットのみなさんは帰還してください』
「しかし…」
まだシュウが見つかっていない。孤門はまだ彼を探すべきだと言おうとしたが、その前に優がナイトレイダーたちに言う。
『残念ですが、彼のパルスブレイカーの反応もありません。このまま探しても、次のミッションまでに温存すべき体力を浪費するだけです。次に備え皆
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