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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
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振りをして奮起させるという、お姉様の考えあってのこと。

 にも拘らず、まるで身を粉にする様に働き始めるなんて……

「……足りないと痛感したのでしょうね」
「足りない?」
「ええ……人の上に立つ器量と、その実力に」

 人の上に立つ器量……?
 お姉様は、十分それを満たしているはず。

「……連合で、なにかあったの?」
「……………………」

 冥琳は、それに黙したまま私を見る。
 しばらくして、疲れたような息を吐いた。

「蓮華様。人は、どういうときに成長すると思いますか?」
「え?」

 唐突な冥琳の問いに、思わず戸惑う。

「成長……? えっと、何かを成し得た時?」
「いいえ……人が成長するのは、自分の実力が足りないと感じた時です。自らが何かをしようとして、それが果たせず悔しい思いをした時に人は、それを乗り越えようと動き出す」
「………………」
「そう思った時こそが、成長する時なのです。停滞し、まどろんだ状況でなにをしようとも、人は成長することはありません。逆境を跳ね返そうと決意した時に、人は成長するのです」
「決意した時……?」

 お姉様が、何かを決意したと……?

「……今回、我々が建業を取り戻した経緯、どこまでご存知ですか?」
「え……? えと、お姉様と袁術の間で話がついたとしか……」

 そう。
 私やシャオが戻ってこられたのは、お姉様が袁術から建業とその周辺である揚州(ようしゅう)一帯を返還させたということ。
 そして孫家は、正式に袁家の庇護から離れて独立することになった。

「その袁術が何故、話し合い程度で揚州を手放したと思いますか?」
「……………………」

 冥琳の質問に、私は答える回答を持っていない。
 なぜなら、それは私自身がずっと疑問に思っていたからだった。

「……この度の揚州全土の返還は、一人の男が関わっているのです」
「男……? それってまさか……」
「ええ。蓮華様も噂はご存知でしょう。劉備の軍師、梁州の黒い魔人。天の御遣い……北郷盾二」

 北郷……盾二。
 お姉様が以前、黄巾の乱で出会い、お姉様自身が真名を預けたというあの……?

「あの男は袁術に、その首の代償として雪蓮の要求を突きつけたのです。そして袁術はそれを了承しました」
「……なんで、関係のない天の御遣いが私達を……?」
「……………………」

 冥琳は、静かに頭を振る。

「……私達は、あの男に多大な恩義があります。連合にて、虎牢関で壊滅の危機を救われ、その後反乱とも取られかねない状況で、起死回生の手で恩賞まで得ました。さらに袁術からの独立まで……」

 ……何故かしら。
 冥琳が呟く出来事は、恩義あって感謝することであるはずなのに。
 
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