拠点フェイズ 4
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振りをして奮起させるという、お姉様の考えあってのこと。
にも拘らず、まるで身を粉にする様に働き始めるなんて……
「……足りないと痛感したのでしょうね」
「足りない?」
「ええ……人の上に立つ器量と、その実力に」
人の上に立つ器量……?
お姉様は、十分それを満たしているはず。
「……連合で、なにかあったの?」
「……………………」
冥琳は、それに黙したまま私を見る。
しばらくして、疲れたような息を吐いた。
「蓮華様。人は、どういうときに成長すると思いますか?」
「え?」
唐突な冥琳の問いに、思わず戸惑う。
「成長……? えっと、何かを成し得た時?」
「いいえ……人が成長するのは、自分の実力が足りないと感じた時です。自らが何かをしようとして、それが果たせず悔しい思いをした時に人は、それを乗り越えようと動き出す」
「………………」
「そう思った時こそが、成長する時なのです。停滞し、まどろんだ状況でなにをしようとも、人は成長することはありません。逆境を跳ね返そうと決意した時に、人は成長するのです」
「決意した時……?」
お姉様が、何かを決意したと……?
「……今回、我々が建業を取り戻した経緯、どこまでご存知ですか?」
「え……? えと、お姉様と袁術の間で話がついたとしか……」
そう。
私やシャオが戻ってこられたのは、お姉様が袁術から建業とその周辺である揚州一帯を返還させたということ。
そして孫家は、正式に袁家の庇護から離れて独立することになった。
「その袁術が何故、話し合い程度で揚州を手放したと思いますか?」
「……………………」
冥琳の質問に、私は答える回答を持っていない。
なぜなら、それは私自身がずっと疑問に思っていたからだった。
「……この度の揚州全土の返還は、一人の男が関わっているのです」
「男……? それってまさか……」
「ええ。蓮華様も噂はご存知でしょう。劉備の軍師、梁州の黒い魔人。天の御遣い……北郷盾二」
北郷……盾二。
お姉様が以前、黄巾の乱で出会い、お姉様自身が真名を預けたというあの……?
「あの男は袁術に、その首の代償として雪蓮の要求を突きつけたのです。そして袁術はそれを了承しました」
「……なんで、関係のない天の御遣いが私達を……?」
「……………………」
冥琳は、静かに頭を振る。
「……私達は、あの男に多大な恩義があります。連合にて、虎牢関で壊滅の危機を救われ、その後反乱とも取られかねない状況で、起死回生の手で恩賞まで得ました。さらに袁術からの独立まで……」
……何故かしら。
冥琳が呟く出来事は、恩義あって感謝することであるはずなのに。
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