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デート・オア・アライブ
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突っ込んだ


肘ほどの長さまで中に入り、ぐちゃぐちゃにかき回していた。

感覚は全くなかったが逆にそれが恐ろしく、俺の中の人間的な意識、常識がガラガラと崩れていくのが分かった。

しばらくして腕を外し一言 「気分はどうですか」

「…………」

しばらく放心し一言 「ああ、問題ない」

今思えばそれは何よりの異常だった。取り乱し発狂していた男が数分間で平静を取り戻すなんてありえないの一言に尽きる。

なにより、この現象を引き起こしたであろう張本人と何の支障もなく会話をしている。

途轍もないほどの滅茶苦茶な事態。その渦中に今俺はいる。



そして挙句の果てに朝食の準備もしてしまった。

目玉焼きとご飯とみそ汁。簡素な物ばかりだがこういうのこそ最後の晩餐にちょうどいいだろう。

「それで、話を進めますがあなたは死んでしまったんですよ」

目玉焼きの黄身をプにプ二しながら幼女は言う。

「それでこれからあなたが死んだ後について――」

「まぁまて、まずは俺の死因について聞かせてもらおうか。そこんとこはっきりと思いだせなくてな」

「そんなこと聞きたいんですか?あんまりいいもんじゃありませんよ」

「一応だよ一応。俺自身どんな感じに死んだのかとても気になるのさ。でも、もしアンタの手違いで死んじまったんだとしたら一発以上の拳や蹴りは覚悟しろよ」

「私は優秀ですからそんなヘマはしませんよ」

そう言ってこの幼女は尊大にこちらを見上げる。
そもそも神に優秀、劣等なんてあるんだろうか。神話世界ならまだしもここは現実世界なんだよ。もうちょっと世界観とか俺のアイデンティティーを労りながら話してほしいね。

「ええと、そうですね……あなたの死因は猫を助けるために横断歩道を飛び出し、トラックに()かれたことによる轢死(れきし)――――」

「おお!流石日本の好漢(こうかん)代表である俺!死因すらも格好いい!」

「――ではなく、行きずりの女性と一晩だけの関係になるつもりが、後からヤクザの組長の娘だったことが判明して自宅に追い込みをかけられ、体中をバラバラにされた後、魚の餌にされてますね」

「落ちた―!上げて落ちた―!どん底へと叩きこまれたー!」

嗚呼俺よ、今頃は魚とランデブーしているのか。でもやっぱり俺は哺乳類の方がいい。

「まああなたの死因には同情……はしませんね。微塵もないです」

「辛辣だなあ。ねえ今から神の力で死因変えれない?できればホテルで美女2人と組んず解れつして腹上死したっていうのが一番いいんだけど」

「来世で試してくださいよ。そんな不健全性的人生は」

良いと思ったんだがな。どうせ死ぬなら前世の死因くらいちょちょいと……

……
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