第一章
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今の声は男の声である。バリトン、いやヘルデン=テノールの域だろうか。普通の声はそのワーグナーのテノールとして有名な極めて低くそれでいて輝かしさもある領域の声なのだった。
「もうね。子供の頃なんか」
「皆驚いただろうな」
「やっぱりな」
「驚いたなんてものじゃないよ」
自分でその顔を振り返りながら言うのだった。
「もうね。先生まで思わずピアノを止めてね」
「普段はその声なのにな」
「何で歌う時にはそうなるんだろうな」
「完全に女の声じゃないか」
「誰がどう聴いてもな」
仲間達は皆言う。それは彼等もよくわかっていることだった。
「男なのに女の声が出る」
「どういうことなんだろうな」
「僕にもわからないよ」
首を横に振って応えるマクドネルだった。その首も実に筋肉が目立つ。何処までもしっかりとしている筋肉である。しなやかでそれと共に鋼の様である。
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