第七十四話 冬化粧その十
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「だからね」
「そうなのね」
「あまりこうした日は好きじゃないわ」
また母に言った。
「どうにもね」
「じゃあ退屈を紛らわせる為にもね」
「お風呂ね」
「入ってきたらいいわ」
「お酒も多少抜けたし」
「そう、もう大丈夫だから」
「お酒ばかり飲んでたらね」
どうかとだ、ここでまた言った琴乃だった。
「よくないわね」
「それは絶対に駄目よ」
「飲むのもいいけれど」
「溺れないことよ」
酒、それにだというのだ。
「いいわね」
「お酒に溺れたら」
「お水と一緒よ」
水に溺れる、それとだというのだ。
「その時はね」
「つまり死ぬってことね」
「そうよ、だからお酒も怖いのよ」
それもまた、というのだ。
「溺れるものだから」
「お酒に溺れて破滅した人も多いから」
「あんたも気をつけてね」
「うん、じゃあ今日はね」
一升飲んだ、それでだというのだ。
「もうこれで止めるわ」
「そうしてね」
「うん、それじゃあね」
こう話してだ、琴乃は昼食のその力うどんを食べた後でまた風呂に入った。その風呂で酒はかなり抜けてだった。
後は気持ちよくゲームをした、そして。
夕食も食べて夜になりだ、リビングで熱いお茶を飲みながら今はテレビを観ている母にこうしたことを言った。
「明日は外に出られるかしら」
「天気予報ではそう言ってるわ」
「そうなの、それじゃあ」
「ええ、明日はね」
「学校にも行けて」
「遊ぶことも出来るわよ」
「やれやれね。学校が休みってのは楽だけれど」
それでもだった、外に出られないのは。
「どうもね」
「困るでしょ」
「私の場合は特にね」
外に出ることが好きな琴乃にとってはだった、今日の様に外に出られない状況はたまったものではなかった。
それでだ、こう言うのだった。
「しんどかったわ」
「休日でもよね」
「動かないんじゃなくて動けなかったからね」
今日はというのだ。
「だからね」
「そうでしょ、動けないとね」
「存外しんどいわね」
「特に琴乃ちゃん病気の時でもね」
「うん、一日寝ていないと駄目とかね」
風邪をひいた時等だ、そうしたことはというのだ。
「辛いからね」
「それでよね」
「うん、もうね」
「大雪は嫌なのね」
「もう勘弁だわ」
懲り懲りという口調だった、天候によるもので仕方がないにしても。
「いや、大変だったわ」
「お母さんもね。今日はかえって疲れたわ」
「雪国の人は大変ね」
「お母さんとても無理よ」
雪国で暮らすことはというのだ。
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