第百二十八話
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第百二十八話 隠し味は
華奈子は美奈子からカレーの隠し味に牛乳やコーヒーを使うことを知った、そうしてそのうえで言うのだった。
「何がいいかしら」
「隠し味に?」
「そう、何がいいかしらね」
「チキンカレーだから」
そのカレーにするからだと言う美奈子だった。
「ここは牛乳かしら」
「牛乳ね」
「ええ、とにかくカレーの隠し味は色々よ」
「牛乳なりコーヒーなり」
「そう、本当に色々だから」
「どれがいいか悪いかもないのね」
「特にね」
そうしたこともないというのだ。
「まあ今はね」
「今は?」
「基本今回のカレーはどうして作るか決まってるから」
「今あれこれ言わずに」
「そう、日曜までは落ち着いていましょう」
「他のことを考えていくのね」
華奈子は美奈子の考えを察してこう問い返した。
「そうしろっていうのね」
「ええ、カレーだけが人生でもないでしょ」
「何かお話が大きくなってない?」
人生の話になったからである。
「それって」
「そこまでは言ってないけれど」
「つまりカレーのことだけを考えるなってことね」
「そう、そういうことよ」
要するに、というのだ。
「そのことだけ深く考えずに」
「色々考えていくのね」
「華奈子の集中力が凄いことはいいことよ」
それはいいというのだ。
「けれど一つにこだわり過ぎるとね」
「よくないのね」
「色々と他のことも考えていきましょう」
「カレーのこと以外も」
「そう、日曜は日曜で」
「それ以外のこともね」
「例えば今は」
美奈子は微笑んでチョコレートケーキを食べてそれからこう言った。
「このケーキのこととか」
「美味しいケーキね」
「紅茶もでしょ」
「ケーキにはやっぱり紅茶よね」
「コーヒーも捨て難いけれどね」
「やっぱり一番は紅茶でしょ」
華奈子も美奈子の言葉に乗って言う。
華奈子は美奈子の言葉通り今二人で食べているケーキと紅茶の話に移った、そうして日曜まではカレーから離れるのだった。
第百二十八話 完
2014・4・25
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