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アイドル研究部の一存
これこそ、私の待ち望んでいた切り札です!
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「音もなく気配もなく、静かに運命は変わるのよ!」
 東京都千代田区某所にある国立音ノ木坂学院。そのアイドル研究部部室で、部長である矢澤(やざわ)にこが小柄な体躯を踏ん反り返らせながらそう言った。
「お、今日のにこっちは何や詩的やなあ」
「どうせ何時(いつ)もみたいに下らない思い付きでしょ」
 長机の上にタロットカードを広げて占いをしている東條希(とうじょうのぞみ)と、その向かい側で読書に(いそ)しんでいた西木野真姫(にしきのまき)が、対照的な反応を見せる。
「下らないとは何よ。下らないとは。いい? こうやって私達がぼーっとしてる間にも、運命というのは刻々と変化し続けているのよ!」
「分かるで。アフリカでは、一分間になんと六十秒が過ぎてる、ってやつやろ?」
「そうそう、それよ……って、それは別に普通のことじゃないの!」
「にこっち、ナイスノリツッコミ!」
 親指を立てて賞賛の言葉を投げ掛けてくる希に一瞥(いちべつ)もくれず、にこはこほんと咳払いをする。
「一寸先は闇、という(ことわざ)があるように、この世の中何が起こるか分からないわ。だから、私達は予想できない事態に対しても常に備えていなきゃいけないのよ」
 にこの演説に、希の隣に座っている園田海未(そのだうみ)は感心したように頷く。
「その通りですね。私達スクールアイドルに予期せぬアクシデントは日常茶飯事ですから、そういう心掛けは大切なのかもしれませんね」
「海未。多分にこはもっともらしいことを言ってるだけでしょうから、あまり真に受けない方がいいわよ」
「どういう意味よ、真姫。私は皆のことを心配して言ってあげてるんじゃない。そんなことばかり言ってると、何時か――」
 痛い目を見るわよ、と言いかけたその時、周囲が一瞬眩(まばゆ)い光に包まれて、今まで聞いたこともないような爆音が耳朶(じだ)に叩き付けられる。それと同時に、奇妙な浮遊感に襲われ、視界がぐるぐると高速で動き出した。しばらくしてそれが治まったかと思うと、今度は全身に刺すような鈍痛が走る。
 この十秒にも満たない時間で一体何が起こったのかと辺りを見回したにこは、その赤い双眸(そうぼう)を大きく見開き、言葉を失った。
 彼女の眼前には、思わず目を(おお)いたくなるような惨状が広がっていたのだ。
 部屋の中央に鎮座していた長机は大きな力が加わったためか拉げて原型を保っておらず、その周辺に置かれていたパイプ椅子はバラバラのパイプになってあちこちに転がっている。全国津々浦々のアイドルのCDやらDVDやがら収められた大きな棚は、うつ伏せに倒れてその中身を床にぶち撒けている。室内にあるありとあらゆる備品が壊れて床に転がっているその光景は、にこの知るアイドル研究部部室と何もかもが違っていた。
「あ……真姫、希、海未! 皆大丈
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