これこそ、私の待ち望んでいた切り札です!
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え。カードゲームアニメのお約束じゃない」
「お、お約束?」
「カードやミニ四駆で世界が崩壊しそうになったり、逆に世界を救ったりできるのは、ホビーアニメの恒例なのよ」
「スクフェスとかヴァイスシュヴァルツとかで、ブシ○ードさんには色々お世話になってるし、今後こういう展開も出てくるかもしれへんで」
「いやいや。それなら、わざわざ私達を使わなくてもいいでしょ」
「真姫の言うことももっともですね――使われるとしても『中の人』の方でしょうし。他に予想外の出来事といえば……異能力に目覚めることでしょうか」
「何で予想外の出来事でそれが最初に浮かぶのよ……」
「実際に目覚めた人間が何を言っているのですか。自らを幼少期の姿に変えるなんて、立派な異能力ではありませんか」
「違うわよ! あれはPV上の演出でしょ!?」
真姫が他の三人と取り留めもない言い合いを続けていると、真姫以外の三人が突然糸の切れた人形のようにその場に倒れ込んだ。
「ちょ、ちょっと! 何なのよ、いきなり。また私をからかうつもり?」
倒れた三人の体を揺すってそう声を掛けてみるが、反応はない。少し強く叩いても、脇腹のような他よりも敏感な部分を突いても、目を開ける気配は微塵もない――息をしているので、どうやら眠っているだけのようだが。
「ど、どうなってるのよ、これ……」
「あれえ、真姫ちゃん?」
部室の出入口付近から突然聞こえた声に、真姫はびくんと肩を震わせる。
声のする方へ視線を動かすと、開け放たれた扉の前に同じμ’sのメンバーの一人である南ことりが立っていた。
「こ、ことり? もう、脅かさないでよ」
ことりは何時もと同じようににっこりと笑顔を浮かべて答える。
「ごめんごめん。でも、私の方も驚いたんだから、お互い様だよ」
その言葉を聞いて周囲を見渡した真姫は、小さく「あ」と声を漏らした。
にこ、希、海未の三人が昏睡している中で一人だけ平然としている光景は、見る者によってどうとでも解釈できる。偶然そういう場面に遭遇して途方に暮れている無辜な目撃者とも、何か異常な出来事があった中でたまたま難を逃れた哀れな被害者とも、今まさに三人に危害を加えた直後の残忍な加害者とも思われかねない。無論、真姫は哀れな被害者に違いなかったが、誤解を生じやすい場面で第三者に目撃される現在の状況は非常に都合が悪かった。
「ち、違うのよ、ことり! これは三人が急に倒れて私は――」
「だって、ことりはこの部屋にいる人みんな眠らせようとしたのに、真姫ちゃんだけ起きてるんだもん。びっくりもするよ」
「……え?」
笑顔で淡々と述べることりに、真姫は背筋に薄ら寒いものを感じた。
「ことりの魔法が効かないなら、ちょーっと痛い目を見てもらうしかないよね?」
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