これこそ、私の待ち望んでいた切り札です!
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り出す。
「おもろいやん! 神の力、超えられるモンなら超えてみいや!」
一方の希も海未の言葉に応えるようにデッキを取り出し、神のカードをそこに組み込んだ。
お互いのデッキを確認すると、二人はそれをしっかりとシャッフルする。そして、それぞれのデッキを交換してしっかりカットした後、デッキを持ち主に返して机の上に置く。初期手札として山札の上から五枚を取り、静かに一礼を交わした後、
「「デュエルっ!」」
この世界の命運を賭けた決闘の火蓋が、切って落とされた。
山札からカードをドローし、カードをプレイし、バトルを行う。それら一連の行動がお互いのターンとして消化されていく。カードが出されて自陣営の盤面を埋め、相手のカードを排除し、決闘の勝敗を決めるライフを削る。二人の知略の限りを尽くされた攻防が幾度となく行われ、何時しか勝負は終盤に差し掛かっていた。
「意外とやるやん、海未ちゃん。まさか、ウチをここまで追い込むなんてなあ」
相手を褒めるだけの余裕を見せつける希に、海未は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
「けど、それもここまでや。ウチのライフは残り5に対して、海未ちゃんのライフは残り1。フィールドに一枚もカードがないし、もう逆転は不可能なんとちゃう?」
「確かにそうかもしれません……ですが、私は決して諦めません。敗北が決まる最後の一瞬まで、私は自分のカードを信じます」
山札の上に手を置くと、海未は一つ深呼吸をする。
「これが、私のファイナルターンです! ドロー!」
かけ声と共に勢いよく引いたカードを見た彼女は、顔を綻ばせた。
「見せてあげましょう、希。これこそ、私の待ち望んでいた切り札です!」
海未がそのカードをフィールドに置いた時、突然カードから眩い光が放たれた。
「な、何!? これは、まさか……!」
「――って、何なのよ、今度は!」
真姫のツッコミに、観戦していたにこを含めた三人がまるで一時停止のボタンを押したかのようにその場で固まる。
「それはこちらの台詞です。真剣勝負の最中なんですから、水を差さないで下さい。せっかく、私の切り札『ラブアローシュート』が炸裂するところでしたのに……」
「あ、ごめん……いや、そうじゃなくて! 何でいきなりカードゲームが始まるのよ!」
「何でって、そら、ウチが神のカードで世界を支配しようとしてたからやん?」
「まず、その前提からしておかしいのよ! 文明が発達する前からカードなんてものがあるわけないし、それで世界が支配できるとかありえないでしょ! っていうか、そんなに危険な代物なら、交換してシャッフルした時に抜き取っちゃえばよかったじゃない!」
息を荒げる真姫に、にこはやれやれと肩を竦めて大きく溜息をついた。
「分かってないわね
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