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アイドル研究部の一存
これこそ、私の待ち望んでいた切り札です!
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夫なの!?」
 にこは部屋の中にいた三人の姿を思い出し、その名前を叫ぶ。
「真姫! 希! 海未! 返事しなさいよ! 聞こえてるんでしょ!」
 しかし、何度呼び掛けても、返事はおろか呻き声の一つも聞こえてこない。
「ま、まさか……」
 彼女の脳裏につい数十秒前の光景が(よみがえ)る。
 長机の側に希は座っていて、その向かいには真姫がいて、その更に隣には海未がいた。それを今の景色に当てはめると、彼女達は――
 全身の血の気がさっと引くのを感じて、にこは倒れている棚に手を掛けた。
 これまで運動らしい運動を行ってこなかったせいで筋肉がほとんど付いていない自身のか細い腕に、ありったけの力を込める。大切な友人を、可愛い後輩を、かけがえのないμ'sの仲間を救い出すために。
 無情にもと言うべきか、当然のことながらと言うべきか、彼女らの上に覆い被さっている本棚はビクともしない。
「……あ、そうだ」
 にこは一度本棚から手を離し、近くに転がっていたパイプ椅子の一部らしき金属棒を手に取る。そして、それを本棚の下に差し込んで力を掛ける――所謂、テコの原理というやつだ。
 直接持ち上げるよりも大きな力が発揮されたためか、本棚が(わず)かに持ち上がってその下敷きとなっている物の様子が見えてきた。
「……!」
 それを目にした瞬間、にこは思わずパイプから手を離してその場に力なく座り込んだ。
「そんな……」
 本棚の下にあったもの。それは、真姫でも希でも海未でもなかった、否、かつてはそうだったのだろうが、今となっては最早誰が誰かを判別することは不可能な状態だった。
 窓の外から再び爆音が鳴り渡り、割れた窓から強い風が吹き込んでくる。
「何よ……一体何が起こってるっていうのよおおおおおっ!」
 低い姿勢になって頭を守りながら、にこは誰に向かってでもなくそう叫んだ。おおよそ今までの日常では起こりえない出来事の連続に、彼女の精神は限界に差し掛かっているのだ。
「にこ! 何やってるのよ、こんなところで!」
 彼女の叫び声を聞き付けたのか、誰かが部室の扉を開けた。
「え、絵里(えり)……」
 部室の入口にいたのは、絢瀬(あやせ)絵里だった。
 絵里はにこの姿を認めるや否や、彼女の腕を(つか)んで強引に立たせた。
「ここは危険よ。早く逃げましょう」
 自身の腕を掴んだまま歩き出そうとする絵里に、にこは逆に腕を引いて抵抗する。
「ま、待って……! 中には、まだ……真姫と希と海未が……!」
 にこの言葉を聞いた絵里は部室内を見回した後、静かに首を横に振った。
「……行きましょう。ここにいても、私達にできることはないわ」
「で、でも……!」
 どんな名医を連れてきても、どんな高度な医療器具を使おうとも、三人がもう助からない状態であるのは
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