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少年と女神の物語
第八十一話
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「で、俺は何をしたらいいですか?」

 副会長に、指示を求めた。
 会長が居ない以上、副会長の指示を仰ぐしかない。

「では、まず・・・」

 そして、副会長は裁縫班が活動している教室(四階)を指差し、

「あそこに行って、当日の衣装を作ってもらってきてください」
「・・・え、俺のも作るんですか?」
「当然でしょう?」

 さも当然のように言われた。

「あの・・・俺、権能を使えば衣装くらいどうにかなるんですけど」
「ああ、芝右衛門狸から簒奪した権能ですね。ですが、せっかくの文化祭ですから。例年通り、衣装は作ってきてもらいます」

 そこで、俺は毎年の事ながらかなり恥ずかしい思いを文化祭でしていることを思い出した。

「あの、副会長。まさかとは思いますけど・・・」
「ああ、例年通り文化祭では衣装を着て過ごしてもらいます」
「やっぱりか!」

 俺はその場で頭を抱えたくなった。

「生徒会の人間であることは一目で分かりますし、色々と助かりますから」
「ということは、他の四人も?」
「何かしらの衣装を着てもらいます」

 そうなのか・・・それはまた、目立つなぁ・・・
 よし、何かあったらすぐに衣装になれるようにだけして、権能で制服姿に変幻しておこう。

「・・・そういえば、今年も二日、両方で劇をやるんですか?」
「その予定ですよ」
「なら、初日と二日目でジュリエット役を分けるのはダメなんですか?」
「・・・台詞や動きなどは、」
「二人とも頭いいですし、そこまで無謀じゃないと思いますけど」

 そう言うと、副会長は顎に手を当てて思考を働かせ始める。
 そして、一つ頷いて。

「それで行きましょう。これ以上、生徒会役員三人が仕事から離れているわけには行きませんから」
「了解です。では、ついでにロミオ役もあと一人・・・」
「却下です」

 あっさりと却下された。
 むぅ、思い通りには行かないか・・・

 俺は少しばかり敗北感を味わいながら、大人しく裁縫班の元に向かった。

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