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ソードアート・オンライン〜ニ人目の双剣使い〜
悔恨の黄昏
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ている暇はなかった。

ダンスの要領で自分と詩乃の位置を入れ替える。

その直後……鋭い痛みが背中に走った。

「……っ」

その痛みに顔を多少歪めつつ、詩乃を放して振り返る。

目に入った顔は元々浮かべていた粘っこい笑みが多少歪み、怒りの表情になっていた。

「邪魔をするな! なんで、、なんで、なんで、なんで、いつも、いつも、いつも、いつも、イツモ、イツモ、イツモ……」

壊れたレコードのように同じ単語をブツブツと呟きながら手に持っていた空の注射器を投げ捨てると懐から新たな注射器を取り出す。

「退けぇぇぇぇ!!」

「詩乃、下がれ」

突き出された注射器を持った腕を下からの手刀で弾く。手首の部分に当て、瞬間的に握力を奪い、注射器を落とさせた。

そして、新川恭二の懐に入り込み襟首と手首を握りしめる。

少し押してバランスを崩させたところで手首を返し、俺の背中を相手の腹に付け、そのまま背中を基点にして新川恭二を投げ飛ばした。

途中で手を離し、威力を増幅させるのも忘れずに。

「ユウキ、すまんが救急車と警察を……」

新川恭二が動かないのを確認したあとユウキに話し掛ける。

動いたせいで薬が回ったのかクラッとした。心なしか息が苦しい。

「今呼んでるから!! あの薬ってなに!?」

ユウキの悲鳴の様な声も遠くから聴こえてくるように思える。

「おそらく……サクシニルコリン……だと」

胸にトンと軽い衝撃が走ったのでそちらに目を向けると、そこには瞳一杯に涙を溜めた詩乃の顔があった。

それを見たのを最後に意識が暗転した。















〈Side 朝田詩乃〉

幸せだった。

燐と出会ったのは私が殺人犯とか言われていじめられていた頃だ。

最初は結構積極的に話し掛けてくる燐を冷たくあしらっていたのだけれど、何度も庇って貰って、何度も話し掛けて貰って……。あの時は素直に慣れなかったけれど本当は好きだったと。

……その時な好きが恋愛感情なんかじゃなくて単なる自己防衛のための拠り所だったんだろうけど。

それが恋愛感情に変わったのは燐がソードアート・オンラインに囚われてからだ。

燐と話せなくなって、燐と触れ合えなくなって初めて確信した気持ち。釣り合わないから捨てようと思っても捨てきれない。

ソードアート・オンライン事件での死者が増えるに連れて次は燐じゃないかって思って人知れず泣いていたあの時。

失ってから気づいたことだ。

燐は強かった。ソードアート・オンラインをクリアして無事に帰還して、自身の両親との問題を解決して……さらには私の過去に絡む死銃事件を解決し、私を過去の亡霊の呪いから解き放っ
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