第六章
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言ってだった。
「ここだってね」
「ここって?」
「家も昔よりずっと少なくてね。土手の上のこの道もアスファルトじゃなかったし」
それもなかったというのである。
「色々と変わったんだよ」
「そんなに?」
「そうだよ。それでもね」
ここで周りを見るとであった。今は夕方だ。そしてその周りには。
赤とんぼ達がいる。彼等はそのまま二人の周りを舞っている。周吉はそれを見て準一郎に対して話すのだった。
「変わらないものもあるんだよ」
「変わらないものって?」
「そうさ。変わるものもあれば変わらないものもあるんだよ」
目を細めさせての言葉である。
「そういうものもね」
「ねえお爺ちゃん」
準一郎も見上げていた。そうしてその赤とんぼ達を見てだった。周吉に対して言ってきた。
「奇麗だよね」
「赤とんぼ達がかい?」
「うん、何か飛んでる姿がね」
いいというのである。彼はだ。
「奇麗だよね。数も多いし」
「そうだろう?これは変わらないから」
「赤とんぼは」
「変わらないものもあるんだよ。変わるものもあって」
「それで変わるものは」
「それを食べに行こう」
ステーキをである。それは変わったものだ。
変わったものと変わらないものがある。周吉は準一郎と一緒に歩きながらそのことを噛み締めていた。赤とんぼとステーキ、その二つのものをである。
赤とんぼとステーキ 完
2009・12・21
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