32話
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くない。まさかこれが本気だとか言わないよな?」
戦っている現在も夕の精神の中には苛つきがあった。戦闘にそれを混ぜるような真似はしないが気持ち悪いと思う夕だった。
「まさか。これからだよ。でもぉさっきので終わった方が幸せだったと思うよぉ。この魔法を使ったら最後、君に勝ち目はないからねぇ。せっかくチャンスを与えて上げたのになぁ」
ハマーの魔力弾が何かの陣形のようにに配置される。そして
「スパイダーフィールド!」
配置された魔力弾同士を蜘蛛の巣のような魔力糸が繋いで行く。夕は周囲を蜘蛛の巣に囲まれる形となった。地面以外の全方位は蜘蛛の巣に囲まれたことで夕の動きはかなり制限される。
「仕上げはこれだ」
ハマーは蜘蛛の巣に残された小さな隙間に先程の白い実体弾を大量に投げ入れる。夕はこれを回避出来なかった。何故なら一度、避けた白い実体弾が蜘蛛の巣に当たって跳ね返ってきたのだ(白い実体弾がスパイダーフィールドの魔力糸に触れても液体化しないところを見ると実体弾は堅い物資に勢いよくぶつかったときに液体化するようだ)
蜘蛛の巣の役割は夕を閉じ込めることではなかったのだ。白い実体弾をゴムの様な反発力で弾き、夕に当たるまで蜘蛛の巣の中を縦横無尽に動き回らせることだったのだ。いくら夕でも前後左右から反発力に任せて縦横無尽に動きまわる複数の物体を全て避けるのは難しかった。さらに面倒なことに体…特に足や間接に着弾し液体化した実体弾が夕の動きを阻害してきたのだ。液体は強い粘着力を持っているようで全身に付着した強力なネバつきにより夕は動きを封じ込められたのだ。
「どうだ。本日初公開、僕のスパイダーフィールドと虫取りガムのコンボは?」
ハマーのコンボ魔法はゴムの性質を持つ魔力糸て形成されたスパイダーフィールドで相手を閉じ込め。強い粘着力で相手の動きを封じる虫取りガムを避けられないようにするというものだった。
「………」
「さっき僕のあの子達への善意の言葉を邪魔しなければこの魔法コンボは使わなかったのに……これも全部、君が弱くてキモいせいだ」
ハマーは気持ちの悪い笑顔で語る。
「弱者でキモい奴は強者を邪魔する権利はおろか、生き方を決める権利すらないんだ。だから強者の僕は弱者の君をいたぶる権利があるのさ」
その言葉を聞いたとき夕は理解した。
〈チャンスをあげた〉〈弱い奴に生き方を決める権利もない〉
「ああ。そういうことか………似てるだ」
こいつの言動が…………………………………………………………………………………………………世界の理不尽さに。
夕の体から研ぎ清まされた冷たい殺気がハマーに向けて放たれた。それと同時に夕の体にまとわりついていた虫取りガムが凍りつく。凍る火柱で凍らたのだ。凍って
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