第二章 終わらせし者と月の女神
第七話
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うまい話しだ。高々、護衛程度で10000Gもくれ、旅費もでる。なかなかどうしてうますぎる。
「条件は満足だ。だが、裏があるんだろう?」
子供は、それを聞くと少しだけ微笑んだ気がした。
「裏……、まぁ得てしてそういうならきっと僕を狙う奴らは一筋縄では行かないものが多いというが理由の一つですが……」
「お前が高貴な身分だということも理由の一つか?」
「それもありますね」
「わかった。いいだろう、丁度この闘技場にも飽きていたところだ」
「ありがとう。では、改めて自己紹介を」
身に纏うマントを翻し、少年は少し大人びた表情を見せた。
「私はノディオン国王子ロキ。どうかよろしく」
こうして、俺とロキの奇妙な旅が始まることになった。
「という訳で、旅にでます!」
「何を言い出すのかと思えば、そんなのダメに決まってるじゃない。父上が亡くなったばかりで、お母様も深く滅入ってるのよ! 許さないわ!」
「しかし! 兄上からも許可ももらっていますし。それにある程度の準備も進めてます。これは既に決定事項です!」
「ふんっ! わかったわ、行きなさい! でも金輪際、姉弟とは思わないから!」
ラケシスは、表情を歪め部屋から出て行ってしまった。其処に残ったのは、ラケシスとロキの母とこの国の大臣であるメウス。それに話の中心人物たるロキその人だった。
「にわかには、信じがたい話しですが証拠たるものが複数あるのであれば信じないわけも……」
「ロキ……、よく聞きなさい。きっと貴方が旅に出るというのだからどんな理由があったとしても行かなければいけないと決めているのよね。貴方は、エルトシャンともラケシスとも似てない頭の良さがある。気をつけて行きなさい。母は帰りを待っていますよ」
メウスも母も、納得してくれたようだ。ロキはホッと胸をなで下ろすと部屋から退出した。
「国母様、よろしかったのでしょうか? ロキ様は才能有り余る方ですが旅に出るとは突飛なことです。普段のあの方からは考えられない」
「いいのです。きっとこれからこの国は困難に立たされます。そうなっていない今の内に我が儘の一つも叶えさせてあげましょう。それにラケシスも納得してくれているでしょう」
「そうは見えませんでしたが……」
「私には分かります。ラケシスは、根は優しい子だから態度は悪くても本心は心配してああなっているだけです」
目指すは、ブラギの塔。そこで何が起こるかロキにさえもまだわからなかった。
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