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少年の希望
石尾意志
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くは叫んだ、やめろ、と。
ぼくが叫び続けていると、突風が吹いた・・・その突風に押されて彼女は落ちていった。
彼女は最後に
「私は君のことが・・・・・。」
彼女の言葉は風にかき消されて聞き取ることができなかった・・・
彼女は、最期にぼくに何を伝えたかったのだろうか・・・・
ぼくは父を呼びにいった。
彼女を助けて、とそう泣きながら叫んだ。
緊急手術が行われた、しかし、彼女は目を覚まさなかった。
植物状態が数日続いた後、彼女の病室で、ピーピーと電子音が響いた。そして、父が残酷に現在の時刻を告げた・・・
「なんで・・・なんで、彼女を・・・」
とぼくは・・・力なく嘆いた。
「だから、言っただろう、人は自分以外の人間を救うことはできないと」
そう言って父はぼくの前から消えた。 
数日後、ぼくは彼女の遺した手紙を読むことにした。彼女がいったい最期になにを言っていたかを知るために。
手紙にはこう書いてあった。
あなたがこの手紙を読むときに私はいったいどうなってるんだろうね。
きっと死んじゃっているのかな?
それならそれで良いけど、だって生きてたって・・・
じゃあ、なんで自殺したか、説明するね。君はきっとこれが知りたかったんでしょ?
じゃあ、まず、なんで私が事故に遭ったか説明するね。
私は、死にたかった、だから私は信号が赤なのに・・・車がたくさん走っているのに・・・横断歩道を渡った。
そして、私の望みどうり私は車にぶつかった。
だけど、私の望みと違って私は助けられてしまった。あなたの父親にね。
だけど、私は助けられたくなんてなかった。
どうせ、生きていたって辛い事しかない・・・・
そう思っていた時あなたに出会った。
あなたと話しているのはとても楽しかった今までの嫌なことなんて全部忘れてしまうほどに・・・
でも、私は気づいてしまった。こんなのはずっと続くわけがないことに。
退院したらまたあのつらい日々が戻ってくることに・・・
だから、私はもう一回死のうと思った。
それから、君に悟られないように私は常に笑顔で明るく振舞った。
そして、これから私は予定どうりにこの病院の屋上から飛び降りて死ぬ。
さようなら。そして、ありがとう。
私は、あなたの事が・・・好きだった・・・。
と、そう書いてあった。
ぼくは泣いた。
そして、理解した。父の言っていたことの本当の意味を・・・。
人は自分以外の人間を救うことはできない。ということの本当の意味を・・・
人がいくら他人の体を直したところで最終的生きるか死ぬかを決めるのは、その人自身なんだ。
だから人は他人を救うことなんてできない。
僕はそれを今始めて理解した。
父はきっとあの時こんな気分だったのだろう。
僕はなぜ、いままでこんなことにすらきずかなかったのだろうか
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