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紫炎の超能力者、彼の地へゆく
第二話 「転移」
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さんは目を大きく開き、硬直している。
 しかしまあ、これはさすがに驚きを隠せないな。


 「ま、魔力がない、だと?」

 「魔力が無い、か。予想はしてたしいいか」

 のんきなものである。が、確かに一時は驚いたが無いなら無いでいいと思ってはいた。
 そんなことよりアルミリアさんの様子がおかしい。
 俯いて肩を震わせている。泣いている、ではなさそうだ。
 そんな俺を尻目にして急に顔を上げた。

 「アハ、アハハハ! 面白い! これは非常に面白いぞ。まさか魔力の無い者がいるとは、こんなケースは初めてだな。久しぶりに退屈な日々から脱出できそうだ」

 突然笑い出したから壊れたかと思った。マジ焦った。

 「ふう……よし。私が君の保護者になってやる。喜べ」

 「は?」

 「だから君の保護者になってやると言っている。そうすれば学園の方にもすんなり入れるしな」

 「本音は?」

 「この後めちゃくちゃ君を、サトリを研究したい。もちろん……いや、なんでもない」

 今この人あからさまに目を背けたぞ。むしろなんでもなくないだろ。
 保護者、ねえ。そうしてもらった方がいいかもしれん。八割方俺得だからな。


 「そんじゃ、これからよろしくお願いします」
  
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