少しでも前に進めたら
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のは明らかだった。
「何で・・・どうしてザイールさん・・・ジュビアの水流激鋸を・・・避けなかったんですか?」
「お前は本当に問い掛けが多いな」
ジュビアの問いにザイールはクスクスと笑い声を零す。
そして、天井を見上げた。
表情から冷たさは消え、晴れ晴れとした表情になっている。
「・・・何で、と聞かれても解らない。ただ1つ言うなら、滑稽だったからだろう」
「え?」
意味の解らない回答に、ジュビアは聞き返す。
それに対しザイールは、聞き返すのが当然であるかのような表情を浮かべ、目を閉じた。
「解らなくてもいい。知る必要もない。答えなど世に生きる人間の数だけ存在する。その全てを理解しようとしていては、答えを知るだけで生涯を終える事になる」
そう言って、沈黙する。
しばらく静寂が流れた空間。
沈黙を破ったのは、ジュビアの声だった。
「ザイールさん」
「・・・何だ?」
顔だけをジュビアに向ける。
ジュビアは微笑んで、口を開いた。
「・・・罪を償ったら、シュランちゃんに会いに来てくださいね」
シュランちゃんと一緒に、ジュビアも待ってますから。
そう言って、ジュビアは気を失った。
無理矢理起き上がったザイールは気を失うジュビアを見て、溜息をつく。
「ティア嬢を助けに来たんじゃなかったのか・・・?こんな所で気を失ってる場合じゃないだろ」
呆れたように言うが、返事はない。
こちらも力尽きたザイールは、目を閉じて意識を遠くへ飛ばした。
―――――気を失う前に、口元に弧を描く。
「ああ・・・必ず、会いに行くよ」
「生憎だが、私は消える訳にはいかない・・・そう言いましたよね?あなたは、デス」
どんな会話であれ語尾にデスを付けるのは、災厄の道化のセス・ハーティス。
ブロンドのカーリーヘアに肉感的な肢体、とびっきりの美人顔の女魔導士だ。
「がっかりデス・・・言うほど手強くなかったデス」
はぁ、と溜息をつくセス。
そして、目線を少し上げた。
その目線の先には――――――
「ヴィーテルシアさん・・・デス」
傷だらけで倒れる、金髪を三つ編みに結えた少女に変身した、ヴィーテルシアだった。
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