第5章 契約
第90話 朔の夜
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かに、俺の中に流れて居る龍種の血がケツアルクァトルと繋がっていると言うのなら、それは間違いやない」
先ほどまでの王太子然とした口調から、普段通りのいい加減で大ざっぱ。かなり、面倒臭がりの口調へと戻す俺。
そして、
「ただ、俺たちの周りを囲み込もうとしている黒マントの獣人ども。……ジャガーの戦士どもでは、俺やシャルロットを捕らえる事は出来へんで」
かなりのネタバレに近い内容を口にする。
その台詞を聞いた瞬間、かなり余裕のある表情で明らかに俺やタバサの事を見下していたアルマンに、それまでとは違う色が浮かぶ。
但し、それは警戒やそれに類する、自身の状況を冷静に分析する類の色ではない。むしろ、疑問。何故、自分の配下の事が判ったのかと言う疑問の色。
成るほど。こりゃソルジーヴィオのヤツは、俺やタバサの事を一切、アルマンに説明していない、と言う事なのでしょう。
成るほどね。それならば、
「そもそも、これだけの状況証拠が有って、オマエから発せられる人ならざる気配が有れば大体の想像は付く。そうやろう、生成りのアルマンさんよ」
ヤツ自身の存在を、迂遠な方法を取る事もなくズバリと指摘する俺。
そう。生成り。未だ鬼に成り切っていない中途半端な存在。人の血を吸っているのはヤツから感じる気配で大体、想像が付く。但し、本来の吸血鬼が持って居る威圧感やその他を目の前のコイツから感じる事はない。まして、ヤツ自身に従っている小さな精霊たちは一切、存在していない。
つまり、魔法に関しては系統魔法使いのままの状態。こんな成りそこないの吸血鬼など恐るるに足りず。
確かに状態から言えば、完全に夜の貴族に成り切っていないタバサも、生成りと言えば生成りなのですが、彼女は既に精霊と契約を交わす事が出来るように成って居る分だけアルマンよりは上。まして、経験が違い過ぎて、話に成るレベルではないでしょう。
彼女自身の、人外との戦闘経験が違い過ぎますから……。
「それに、例えテスカトリポカの召喚に成功したとしても、オマエ、どうやってヤツを従わせる心算なんや。アイツはここに居るジャガーの戦士どもとは格が違い過ぎるぞ」
更に、そもそも論を口にする俺。まして、これも事実。テスカトリポカを召喚して、ヤツと契約を交わせる人間がこの場に存在するとは思えません。
もっとも、もしかすると、タバサなら可能性がない事もないのですが。
しかし……。
先ほどは余裕の態度を一度崩しかけたアルマンに、再び、余裕が戻って来た。元々の育ちが良く、更に彼自身が持つ風度……風格と言う物が貴族に相応しい物であるが故に、俺みたいな庶民出身の人間では出せない雰囲気を醸し出している。
そして、
「ハルケギニアの王と選
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