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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第90話 朔の夜
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れません。

 見た目だけはかなりの物ですけどね。

「叔父貴も、もっとちゃんとした副長を選べば死なずに済んだのだ」

 暗に自分の方が相応しかったと言わんばかりの口調でそう言うアルマン。大きな嘲りの中に、微かに後悔のような色が滲む。
 ただ、その事に因って、微かに肉親の情を言う部分を感じる事が出来た。

 しかし……。
 成るほど。確かに魔法至上主義のハルケギニア世界では、彼、アルマンの方が、シャルル・アルタニャンよりも騎士団の副長には相応しい人物だったかも知れませんか。

 ただ、俺の下に付けられたら、取り敢えず出来るだけ遠くの任務に追いやって、二度と戻って来なくても良いぞ、と命令する程度の連中なのですが。

「さて、アルマン。貴男にはガリアより国家反逆罪で逮捕命令が出て居ます。この場で素直に武装を解除して我々と同道して頂けますか?」

 何にしてものこのこと現われてくれたのならば、探す手間が省けたと言う物。まして、人間レベルの魔法自慢とは言っても、コイツを追う為に優秀な捜査員を動員して居るとも思えないので、追い掛けて居る方も一般人レベル。流石に、一般人レベルの捜査員では、この二系統でスクウェア・クラスの系統魔法使いを相手にするのは危険すぎます。

 その上、既に人ならざるモノへと変化した、今のアルマン・ドートヴィエイユは……。

「貴様に、俺が捕まる?」

 ニヤリ、と言う表現がしっくり来る表情を見せるアルマン。
 その瞬間。ヤツの口元に存在する――

「吸血鬼へと転じた俺を、犬コロにも等しいオマエと、最後の最期に臆病風に吹かれてガリア王に成り損ねた半端者の娘の二人で捕らえようと言うのか?」

 ――人間としては不自然なまでの長さの犬歯が、蒼き月の光輝を不気味に反射した。

「そもそも、ガリアの王太子殿下とその妃殿下は、ここに招き寄せられた事にすら気付いて居られぬらしいな」

 性格がにじみ出るかのような笑みを片頬にのみ浮かべて、そう言うアルマン。その時、彼の周囲を取り巻くように立つ八つの黒いフード付きのマントに覆われた影……男か、女なのかさえ判らない異様な影たちが、音もなく陣形を俺とタバサを包囲する陣形へと変えて行く。

 そして、

「何故、ソルジーヴィオが夜の翼を召喚するのに貴様の血と心臓が必要だと言ったのか判らないが。まぁ、安心しな、坊主。オマエを殺した後に、其処の小娘もちゃんと彼の世に送ってやるから」

 何処をどう解釈したら安心出来るのか判らない言葉を続けた。

 しかし……。成るほどね、またあのニヤケ男ですか。
 少し面倒臭そうに後頭部を掻きながらそう考える俺。そして、

「邪神テスカトリポカと永劫に争う事を義務付けられたのが羽毛ある竜ケツアルクァトル。確
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