第5章 契約
第90話 朔の夜
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れて居るので、見た目から年齢を判断するのは少し難しいのですが、おそらく、壮年。三十代前半と言うぐらいでしょうか。
成るほどね。手配書の似顔絵にかなり似ているな。そう考えた後、ワザとらしく、ひとつ小さく首肯いて見せる俺。
そして、
「御目に掛かれて光栄です、アルマン・ドートヴィエイユ卿」
半ば当て推量でそう呼び掛け、恭しく貴族風の仕草で礼を行う俺。もっとも、国賊と成った東薔薇騎士団の制服を着込む酔狂な人物など、今と成ってはそう多くはないでしょうから、間違えている可能性の方が低いとは思いますが。
アルマンが最後の東薔薇騎士団の関係者と言っても差し支えのない人物ですから。
「ほう、王太子殿下は俺の事を御存じのようだ」
低い壮年の男性に相応しい声でそう答えるアルマン。そしてこの時、以前に考えたように、向こう……アルマンの方から捕まる為にノコノコと現われてくれるだろう、と言う予想がズバリ的中していた事が証明された。
但し、そんな予想は外れてくれた方が嬉しかったのは事実なのですが。
「アルマン・ドートヴィエイユ。元東薔薇騎士団の団長の甥に当たる御方。大酒のみで博打好き。その挙句に決闘騒ぎで殺した相手の数は両手、両足の指を足しても未だ足りない。流石のドートヴィエイユ侯も貴方には東薔薇騎士団の副長は任せられなかったのか、それとも、汚れ仕事もいとわないシャルルの方が使い勝手が良かったのか。後輩のヤツが副長に選ばれた際に騎士団を退団。その後は領地に戻って放蕩三昧だった、……と、そう伝え聞いて居ります」
これで女にだらしないと言う設定が加われば、見事に呑む、打つ、買うの三拍子が揃っている人物に成るのですが、その部分に関してはシャルルの方が担当と成って居たのか、悪いウワサはなし。もしかすると若い時分に何か酷い失敗をした事が有るのかも知れない。
但し、魔法と剣の腕は超一流。力自慢のイザークや、流麗な剣さばきのアンリなどと行った模擬戦闘訓練でもほぼ負けなし。故シャルル・アルタニャン東薔薇騎士団副長など足元にも及ばなかった、と言う風に資料には書いて有りましたが……。
もっとも、それも俺から言わせて貰うのなら一般人……表の世界レベル。更に、魔法に関しても、二系統でスクウェアとか言う記述が有りましたが、所詮は系統魔法使い。俺やタバサの前に現われた瞬間にヤツの未来は決まっている、と言う程度の実力。
どうにも、このハルケギニア世界に於ける三銃士のアトス役とは思えない人物ですが、史実の中に登場するアルマンと言う人物は、くだらない決闘騒ぎを起こした挙句、死亡。銃士としての功績はゼロと言う人物ですから……。
其処に、ハルケギニア世界の素行不良の貴族の色を着け、魔法と剣の腕を一流にするとこう言う人物が出来上がるのかも知
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