第5章 契約
第90話 朔の夜
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告げた後、その他の魔将や精霊に関しては、姿を消す魔法を使用出来るロイヤルガードたちだと説明。
女性騎士ばかりだし、ハルファスに至っては、翼人と言う亜人にしか見えない姿なのですが、その部分は強引に押し切って。
その後、ルルド村に自分たちに有利な魔術の陣を構築した後に、村の入り口辺りで囮として俺とタバサが網を張って居たと言う事。
その網を張って居た理由も、そうした方が良いとタバサの式神のレヴァナとウヴァル……伝承上では予言神の側面を持つ式神たちが強く推奨したが故に、網を張って待って居たのです。
コイツがどれだけの加護をテスカトリポカ……いや、ソルジーヴィオから得ているのか判りませんが、それでも呼び出したのがジャガーの戦士だけならば、数万体規模で召喚していない限りは、ルルドの村人たちに指一本触れる事が出来ない戦力は残して来ているはずです。
「それに……」
その瞬間、何処か遙か遠い彼方から。蒼穹の彼方からとも、前方にそびえる火竜山脈からとも感じられる場所から聞こえて来る鐘の音。
そう、それは鐘の音。確かにこの世界……。ハルケギニア世界にも各聖堂が奏でる時刻を報せる鐘の音と言う物は存在します。
しかし、今、聞こえつつある鐘の音はそれらとは別物。日本人の俺に取っては、十二月の大晦日の夜に聞こえて来るのは当たり前の鐘の音。しかし、ハルケギニア世界の人間でこの鐘の音を知って居る人間は殆んどいないであろうと言う鐘の音。
流石に、この世界に除夜の鐘と言う風習は存在していないでしょうから。
その鐘の音が遠くから響き出した瞬間。
周囲を取り囲んで居たジャガーの戦士と、俺の正面に立つアルマン。
そして、自らの右側に並んで立つ蒼い少女から、違和感のような物が発せられた。
……矢張り、タバサにも多少の影響が有るのか。
「貴様、何をした!」
それまでの余裕の態度からは考えられないぐらいに取り乱した様子のアルマンが、かなり強い語気でそう問い掛けて来る。
もっとも、現状はヤツ、アルマンに取っては晴天の霹靂と言うぐらいの異常事態が起きて居るはずですから、当然の反応と言えば、当然の反応なのですが。
「この遠くから聞こえて来る鐘の音は除夜の鐘と呼ばれる風習でな、煩悩を祓う効果が有ると言われている」
そう、煩悩。西洋の吸血鬼と言うのは基本的に肉体的な死を拒否するトコロから発生する物が多い。
つまり、これは肉体的な生に執着する煩悩と言う物。
まして、この周囲に存在するジャガーの戦士たちも、すべてテスカトリポカの眷属で有るが故に、闇と死の属性を得ているはず。ならば、この除夜の鐘の音は苦手でしょう。
「それにな、アルマン卿。済まんけど、少し上を見ては貰えんかな」
俺の言葉に
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