第5章 契約
第90話 朔の夜
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ら近世に掛けてのヨーロッパ世界に、中南米出身。アステカの邪神テスカトリポカが顕われた事が有ると言うのですか?」
そもそもの疑問。確かに、今まで集めて来た情報から導き出せる邪神とはテスカトリポカの事。夜の翼も、山の心臓もすべてヤツの別名。更に、テスカトリポカの別名ヨナルデバズトーリは吸血鬼としての相を持つ存在。
それに四人の后と八人の従者と言うのは、テスカトリポカに捧げられる生け贄に与えられる物。豪華な料理に贅沢な暮らし。その状態がしばらくの間続いた後、その人物は生け贄としてテスカトリポカに捧げられる。
これだけの情報が有り、更に、地球世界の歴史ではコンキスタドールと呼ばれる征服者たちが自らを信奉する民たちを虐殺して行った事を恨みに思って居るはずですから、確かにテスカトリポカがこのハルケギニア世界のスペイン周辺に顕われたとしたら、非常に危険な状態に成る……とは思うのですが。
ただ、そうだとしても、そもそも、この世界のメソアメリカとガリアに接点が無さ過ぎるのですが……。
しかし……。
「おい、坊主。オマエが相手をしている事件の黒幕。この世界を混乱に導いているヤツの正体に未だ気付いていない、などと言う事はないんやろう?」
少し呆れたような声で答えを返して来る風の精霊王。その小さな身体は何時の間にかタバサの右肩から、彼女の胸の前……組まれた腕の中に移動して居た。
この事件……。いや、この世界にやって来てから関わって居る事件の黒幕として俺が想定して居るのは。
少し眉を顰めて見せる俺。確かにこの白猫姿の風の精霊王に指摘されなくても、そいつ等の事はちゃんと想定して居ましたが……。
「這い寄る混沌にそんな妙な能力はない。しかし、門にして鍵。全にして一、一にして全なる者ならばそれも可能」
クトゥルフ神話的に言えば、ヤツは知識その物。いや、ヤツ……ヨグ・ソトース自身が森羅万象、すべての事象を記録している『アカシャ年代記』。もっと一般的な呼び方をするのなら、『アカシック・レコード』その物だと言う説もある邪神。
ソイツが世界の裏側で関わって居る可能性が有る以上……。
「本当はそんな歴史がこの世界には存在して居なかったとしても、アカシック・レコードにくだらない細工を施されれば、五分前に出来上がった歴史的事実……と言う事も有り得るのか」
流石にヤツら自身が万能の存在と言う訳ではないので、すべてを思いのままに……と言う訳には行かないのでしょうが、それでもこの程度の歴史の改変ならば呼吸を行うように容易く為して仕舞うでしょう。
これはつまり、ここでテスカトリポカの復活の儀式が行われたとしても何の不思議もない、と言う事。
それが這い寄る混沌や、名づけざられし者。門にして鍵の目的の為に必要な事実
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