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第一章 〜囚われの少女〜
帰るべき場所
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立ち入ってしまいました無作法をどうかお許し下さいませ。それでは、わたくしにお構いなく談笑のお続きをなさってください」
 少しばかりの初々しさと、配慮の行き届いた姫の言葉に皆は興奮気味で拍手を送った。
 姫はそれにも笑顔で応えると、軽いお辞儀をしてからキャスリンの方へ向き直る。
 何事もないような姫の振る舞いにより、その場は少しずつざわめきを取り戻した。
「あなたはお芝居には興味がないものとばかり思っていましたわ」
 キャスリンは先ほどとはうって変わって、落ち着いた様で対応する。
「姫様に内緒で練習していたのです。……喜んで頂けて嬉しゅうございます」
 何をどう練習していたのかは定かではないが、その表情には照れた様子がにじみ出ていた。

「おい……目の前に姫様がいるぞ」
「本当、びっくり……見れば見るほど整った顔……」
「シド、アンタ手を出すのはまだよ?」
 シド、ミカエラ、団長の三人はひそひそと話すが、ジャックは体をこわばらせて姫の方を睨んでいた。
 そして姫はキャスリンといた団員たちの方に気付き、それからジャックの目の前にやってきた。
「あなたの“少年”は本当に素晴らしかったわ。あの物語も大好きなのだけれど、素晴らしい演技をありがとう」
 姫は同じ年頃の少年に賞賛の言葉を贈った。次の瞬間、ジャックの手を両手に包む。
「あ……」
 ジャックはもちろん、それを見ていた団員の空気が固まる。
 そんなことを何も知らない姫は、満面の笑みを湛えていた。
「お、おれも“エリオ役”したんすけど!」
 間を持たせようと慌てるシドが、二人の間に割って入る。
「ええ、とてもかっこよかったわ」
 今度はシドから姫の手を握っていると、何やら再びカーテンの向こうに、金属のすれる様な騒がしい音が近づいて来た。
「姫様! 私の目を盗んでこのような場所に!」
 現れたのは騎士のダニエル・アンダーソンだ。大声で注目を集めてしまい、恥ずかしさからか咳払いして平静を装う。
「……レナ姫様、私とお戻りください」
 騎士はシドから姫の手を取り上げ、姫はそのまま手を引かれて行ってしまった。

 嵐が去った後であるかのように場の空気が一旦しずまる。
「びっくり……したぜ!」
 シドはキャスリンに向かって目を輝かせる。
「お嬢ちゃん、城の人だったのか!」
 ミカエラもシドと同じく。
「すご〜い! あんなに上手だったからスカウトするところだったわ! 女の子が増えると思って勝手に喜んでたんだけど……」
 そう言ってジャックの方へ視線を向ける。
「そういえばジャック、女の子に触られるの平気になったの?」
 ジャックは汗だくになり、先程から微動だにせず硬直したままだった。
「ジャック?」
 ミカエラの問いかけには答えず、操り人形の糸が切れ
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