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第一章 〜囚われの少女〜
少年と小鳥
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払いをして、
「この子は私の妹なの。不治の病って言われてたんだけど……アンタのおかげでよくなったのよ」
 自分は何もできなかったはずなのに、なぜそう言われるのか少年にはわかりませんでした。
「あの子――ジャスミンのおかげでもあるんだけど」
 そう言えば少女の姿を見ていないと気が付きましたが、少女はラクダの後ろにいました。
「ま、まぁそういうことになるかしら?」
 少し照れたような表情をラクダの後ろからのぞかせます。
「それから……」
 緑の髪の女の子は、両の手のひらを差し出します。
 すると、そこからクリーム色の小鳥が羽ばたきました。虹色の尻尾で宙を舞うと、そこには小さな虹がかかります。見た者の心を引き付ける不思議な光景でした。
 少年はただその光景を見て、喜びの涙を流しました。
「おにいちゃん、きれいね……」
「ああ」
 そこには幸せそうに寄り添う兄妹の姿がありました。
「――そうそう、アンタには世話になったね。……これからどうするんだい? アタシたちと暮らさないかい?」
 少年はそう言われて、決意します。
「僕は旅にでます」
 その言葉を聞いて、少し寂しそうなライラでしたが、少年の背中をぽんと叩きます。
「それがいいさ、若いんだし。アンタは大物になるよ。……辛くなったらいつでもここに帰ってきなさいね」
 少年は世話になった人に礼を言い、そこでお別れをしました。
『ありがとう』――そう言った少年はもう泣いてはいませんでした。ただ真っ直ぐな瞳で空を見ていたのです。
 前を向いて歩き始めた少年は、一人ではありませんでした。少女と、翼の生えたラクダが少年のあとに続きます。
『そのラクダはあげるよ。アンタが気に入ったみたいだからね。じゃあ、お土産楽しみにしてるわよ』
 そう言って笑ったライラの存在は、少年にとって有難いものでした。
「さあ、君もおいで」
 少年は少女の手を引いて歩きました。
 こうして少年は旅に出たのです。心強い仲間と共に――。

 兄妹の姿が見えなくなった頃、少年は少女にいいました。
「どうしてミカエラさんと、この鳥は助かったの?」
 少女はラクダの背に乗っています。そしてこれからゆく道を見つめたままでした。
「初めて見た空が美しくて、気づけば自然と涙が出ていたの。でも“女神の涙”だなんて、なんだか私には合わないわ。きっと本当の女神さまが恵みの雨を降らせてくれたのよ。私はそれを運んだだけ」
 頬を赤らめながらそう言った少女は無邪気に微笑むと、空に向かって浮かび上がりました。
「あ、一人だけ飛ぶなんてずるいじゃないか」
 ラクダにのった少女がどんどん離れて行くのを、少年は必死に追いかけます。
「あなたもここまでくれば? その小鳥がきっと連れて行ってくれるわ」
 少年は追いかける
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