合宿編
十八話
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だった。
思い返してみれば、アインハルトとの果し合いの後も同じだった。あの時は因縁解消により、それまでの疲労が浮き出たと思っていたが、どうやら違うようだ。
覇気というものを使うとこうなるのだろうか? 使い続けていたら、どうなるのだろうか? 先を思えば、悪い予想しか出来ない。
だがアレクは、そうやって生き抜き、血を繋いできた末裔。それに身体資質と戦闘経験だってあるのだ、止めろと言った所で止められるものではないだろう。出来る事は精々身体を労わる事くらいしかない。
そう思って声を掛けたのだが……今のアレクの顔色は、何故か真っ青になっていた。
「明らかにヤバイ顔色してるわよ?」
「そ、そそそそんな筈ありゃせんですますよ!?」
アレクはブンブンと手と顔を勢いよく振りまくり、なんでもないとアピールするが、ティアナにはそう見えない。真っ青な顔をして、なんでもない訳が無い。
疑わしい、と暫し懐疑的な視線で見つめていると、アレクはあちらこちらに視線をさ迷わせ始めた。
「……アレク」
「おおおお俺もちょっくらガッツリ休んできやす!!」
「あ、ちょっと!」
呼び止める声を背に、アレクは全速力で逃げて行った。
「……全く」
アレクの疲れなど無いような逃げっぷりに、ティアナは呆れたように呟いた。
この様子ならば、今のところ懸念した事まではならないだろう。そう判断してティアナは見逃した。
ただ、此方を怯えた目で見ていたのは何故だろうか。ふと考えて……行き当たった。
試合前は至って平常だったアレクが、試合後にこうなった。そして、青白い顔が真っ青に成ったのは、自分が近づいてから。
考えられるものは……SLBの時。
「……ちょっと待ちなさいアレク!!」
気付いたティアナも全速力で駆けだした。上には上が居るし、恩師の全力全開はこんなもんじゃない。そう言い聞かす為に。
試合中の発言が元でも、流石に化け物を見る目は我慢ならなかった。
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