合宿編
十八話
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全燃焼なところもある。アレクの念話で踏み込みが甘くなり、そのお蔭で不思議な加速で伸びた昇打の直撃を免れたのだが、それはそれで悔しいものだ。
試合の結果だけ見れば、アインハルトが生き残り赤組の勝利となったが、欲を言えばもっと戦っていたかった。
「じゃあ陸戦場を再構築したら二戦目ねー!」
「二時間後に此処へ集合だよ」
「……え?」
なのはとフェイトの言葉にアインハルトは、きょとん、と首を傾げた。
「あれ? 今日だけで三回戦やるって……言ってませんでした?」
「……初耳です」
「す、すみません!」
「……あ、いえ、気にしないで下さい。もっとやりたかったので寧ろ喜ばしいです」
告げるヴィヴィオに、アインハルトはどうという事は無いと首を振る。
寧ろ望むところだ。今自分が何を出来るのか、何処まで拳が届くのか、まだまだ試してみたかった。
アインハルトは二時間後の再戦に向けて、静かに闘志を燃やし始めた。
だが対象に、若干戦意が薄れる者も居た。
「まじかい……」
アレクである。
SLBを受けて直ぐに意識が飛び、どう防いだのか覚えてないが、中々凄い事をやった気がしていた。その所為でヴィヴィオを撥ね飛ばした後に踏ん張りが効かず、転がっていったのだ。
覇気とは命の燈火であるので、生命力を削って戦っているようなもの。連戦となると中々厳しいところがあった。
果たして二時間で何処まで回復できるのか。そんな事を思いながら、遠い目で先行くヴィヴィオ達を見ていると、向けられていた視線に気付いた。
ティアナからの観察といった感じの視線だ。
「なんすか、姐さ――――!!」
ついつい棘のある訊き方なってしまい、慌てて口を紡ぐ。
執務官という肩書と此れまでの付き合いから、下手な口答えは危険と己に言い聞かせていたのだが、疲労ですっかり忘れていた。言葉使いを直せと言われていた事も。
この後に訪れるのは説教か、それとも拳骨か。平時ならまだしも疲労感がある今は、兎に角遠慮したい。
さて、なんて弁解したものか。悩むアレクに、意外な声が掛かった。
「体調は良くないの?」
「……へ?」
何処となく心配そうな声色だった。
いったい誰に向かって言っているのだろうか。周りを見ても、もう殆んどの人はロッジの方へ足を向けている。
もしかして、俺か? 少し遅れて思い至るが、どうにも信じきれない。先程、優しい声色で先程の死亡通告を受けただけに。
もしかして、トドメを刺しに……!?
「も、問題ありません!! あ、あってもゲシュペンさせやす!!」
有り得ない思考からアレクは狂言をのたまうが、ティアナは気にしない。
気にする事はアレクの顔色の方だ。何処となく青白く、生気が抜けたよう
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