合宿編
十八話
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動不可には僅かに足りなかった。
ならば、もう一撃!
仰け反り浮足立ってるアインハルトより、ヴィヴィオの方が立て直しは早い。
次の一撃を、体勢を整え――――ようとした所で溜め息混じりの声が耳に届いた。
「……すみませんヴィヴィオさん。先に謝らさせていただきます」
「……はい?」
アインハルトの顔を見ると、顔でも申し訳ないと言っていた。
どういうことですか? と脱力して倒れ行くアインハルトに訊く前に、頭上が少し暗く成った事に気付いた。
ふと上を見ると、何か黒い物体が高速接近してきていた。
なんか、もわもわとしていて世離れした人ならざるモノっぽい。
(アレク……さん?)
能々見ると、アレクっぽい。白い道着は消し飛び黒いインナー姿だが、たぶんアレクだ。SLBの直射とSLBの余波で吹き飛んだのにLIFEが100残っているアレクだ。
ただ、泣いているのか怒っているのか笑っているのか、どす黒い覇気を纏っていてよく判らない。それ程迄の怖い思いをした事は、なんとなく判るが。
なんか亡霊みたい……、と思った矢先、ギラつく目と視線が合った。
「究極! 抹消されかけた者キィィィィィッッッック!!!!」
「えええぇぇぇっ!?」
ヴィヴィオの思考を読んだかのように叫び繰り出すアレクの蹴りは、只の蹴り。
だが只の蹴りと侮ること無かれ。どうやって生き残ったのか――――というか生きているのか判らない恐怖。更に、よくもやってくれたと怨念盛り沢山で放たれる蹴りは、凄まじい八つ当たり。その足先を吹っ飛ばしてくれた片割れの娘に向け、全力全壊で特攻した。
「そんなぁーっ!?」
蹴られた、というより轢かれて撥ねられたヴィヴィオは、ガッツリLIFEを0まで削られて飛んでいく。
そしてアレクは着地大失敗して激しくバウンドし、ヴィヴィオを追うように盛大に転び跳ねて行った。
「はあ……」
身体を起こしたアインハルトは溜息を吐いた。
ヴィヴィオとの対峙中にアレクから咆哮のような念話が届き、相手を譲ったのだが、もう少しなんとか成らなかったのか。向こうの方で落下するヴィヴィオのヒップアタックにご都合主義宜しく潰され、LIFE0になったアレクを見て心底から思った。
◆ ◇ ◆
『お疲れ様でしたー!』
「飲み物とおやつを用意したから確り休んでねー」
『はーい!』
試合も終わり、ロッジで休もうとするヴィヴィオ等に、アインハルトは物欲しそうな視線を送る。
試合中に覚えた繋がれぬ拳や空破断。どちらもまだ体得とまでは行かないが、入り口は掴んだので、もっと試してみたかった。
最後のヴィヴィオとの勝負も、途中で水を差されたので不完
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