心を開いて、妹さん その一
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「タッグマッチ戦を切っ掛けにして仲良くなる作戦らしいけど、どうだろうね」
「あぁ、今日もダメみたいだよ」
「あと何日でベインズくんが諦めるか皆で予想しよっか」
俺の様子を興味深そうに眺めながらそんなことを言っている。
とある物語に『愛が深すぎて相手に逢うことを法律で禁止された女』みたいなキャッチフレーズをもつキャラクターが出てくるが、そこまではないにしても、そう遠くない未来にまたクラス替えなんて悲劇が起こるかもしれんな。
今日も俺は一年四組のドアをくぐる。
クラスメイトの女子たちに挨拶をしつつ自分の席に着く。
俺の前の席にはすでに簪さんが鎮座していた。
その簪さんに向かって俺は挨拶をしたあとこう言った。
「俺はたまにアニメを見るんだけどさ、簪さんはアニメは見る?」
何気に言った言葉だったが、どうやら当たりを引いたらしい。
初めて俺の席に身体を向けてたのだから。
これには驚いた。
今まで天岩戸のように固く閉ざしていたココロに隙間が生まれたのだから。
せっかくなので俺の識っているロボットもののタイトルを言ってみたが、知らなかったようだ。
だが、簪さんはショートホームルームが始まるまでの時間、自分の好きな作品のことを色々と話してくれた。
簪さんは好きなアニメついて話せるクラスメイトがいなかったんだろうな。
好きなアニメついて話す簪さんの姿はとても生き生きとしていた。
これでようやく話す切っ掛けを得た俺は、チャンスだとばかりに一緒に昼食を食べないかと簪さんを誘ってみた。
誘ったのは俺なのでご馳走するよと言ってある。
迷う様子を見せる簪さん。
ここが俺にとっての天王山なのか、もしくは関ケ原なのかは知らんが、踏ん張りどころなのは確かだろう。
ということで俺は、左手をのばすと簪さんの右手首を掴む。
そして簪さんを引っ張り立たせると、教室を出でて、食堂まで引っ張っていく。
最初は拒否されるかと内心ではドキドキしていたが、簪さんは意外と素直に引っ張られている。
俺は安堵のため息をついていた。
食堂に着いた俺たちはメニューを見つつ何を食べるのかを決める。
俺は鳥の唐揚げで、簪さんはうどんを頼んでいた。
カウンターで食事を受け取った俺たちは空いている席はないかと探す。
すると一夏がいつもの箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラの女子五人といるのが見え、俺は一夏たちに近づくと声をかけた。
「なあ、アーサー」
「なんだ?」
「隣いる女子は誰だ?」
「ああ、この娘は俺のクラスメイトの――」
「更識簪」
俺が紹介する前に自分で名前を言っていた。
しかも
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