第二十話 反抗
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屋には、それらが10体ほど転がっている。赤い色を巻き散し、生臭い匂いを放っていた。
「抑えきれなんだか・・・。」
火影様は、そう呟いた。苦々しい、そう言うに相応しい顔をされている。
「この事は、里だけの問題ではない。我々は、戦争をしているのだぞ・・ヒルゼン。木ノ葉でクーデターが起きたなどと知られれば、岩隠れだけではない。他国も攻めてきかねん。迅速に処理せねばならんぞ。」
確かに、ダンゾウの言う通りではある。彼が危惧していた通り、“菜野一族”はクーデターを起こした。そして、それは、木ノ葉の今後を左右する事象なのだ。・・・私が、5年前に恐れていた事が起きてしまうとは。やはり、“あの子”の存在が、それを誘発してしまった。
「・・・ミナト、イナリの家の様子はどうであった?」
火影様は、床に転がる“かつての仲間”を見た。
「争った形跡は、ありませんでした。静かに連れ去られたか、見知った人物に呼び出されたか、という所だと思います。」
そう言えば、瞬身の術で執務室に来た直後を襲われたので、事の次第を話せていなかった。しかし、イナリ君の見知った人物で、“菜野一族”に関係がある者なんて、一人しか思いつかないな・・。
「そうか・・・」
「ヒルゼン!“根”を動かすぞ!いいな!」
話を割って入るように、ダンゾウが叫ぶ。火影様は、ゆっくりと視線を彼に向けて、強い口調でこう言った。
「・・・ならん。儂自らが動く。直属の暗部には、すでに動きがあった“木ノ葉病院”“情報部”“忍者学校”“木ノ葉警務部隊”そして、“共同墓地”に、暗部が向かう手はずになっておる。」
「しかし、迅速に処理せねば・・」
と言いかけたダンゾウを、今度は、火影様が遮った。
「だからこそじゃ!これは、里の表の問題。裏が動けば、それだけ事が大きく見える。その方が、かえって危ない。たとえ、その理由が、里の“裏側”に関わる事でも、表に出た時から、そうなる・・・。」
彼らの話に、私は何も言う事は出来ない。それは、話の“重さ”からなのか、それとも、自分自身への“罪に苛まれている”からなのか。いや、あれは正しかった。今でも、そう思っている。
「ミナト、共同墓地へと向かうぞ。恐らく、そこにイナリはおる。」
急に話しかけられ、身体を緊張させた。しかし、火影様は、それを何とも思わずに窓から飛び出て行った。「私も追いかけなくてならない。」そう思って、一応、そこに残るダンゾウに一度、礼をしてから窓へと走った。
雨が降り頻り、身体は瞬く間に芯からずぶ濡れとなる。里を包む雨は、いつ止むのだろうか。あぁ、クシナに黙って出てきたのは、きっと怒られるだろうな。・・特に、イナリ君が関わっているから。
少し後、
木ノ葉隠れの里 共同墓地
はたけカカシ
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