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戦争を知る世代
第二十話 反抗
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に濡れていた。・・・どうして?どうして、泣いているんだろう?

「お父さんっ!辞めて!イナリを、イナリを・・・!」
頭が、割れるように痛い。・・・どうして、こんなに苦しいのだろう?どうして、ハナは泣いているのだろう?――僕は、何をしているんだろう?

「イナリを・・・私の大切な人を、殺さないでっ!」
ハナの、その声が耳に届いた瞬間、僕の“内側”で何かが弾けた。そして、視界が揺らめく青色の“炎”に染まり、身体を包んだ。


ほんの少し前、
木ノ葉隠れの里
小夜啼トバリ


 雨が冷たく、身体に染みていく。里は、この降り続く雨に、沈み込むように暗い。普段なら多少の明かりが見えるのだが、今夜はほとんどの明かりが見えない。しかも、大小の爆発音が里中に鳴り響いている。・・・おかしい。こんな音が鳴り響けば、多少なり混乱していてもおかしくはない。しかし、何だろうか、この静けさは。一つの“可能性”が頭を過る・・・それは、そうであって欲しくない。
 屋根の上を飛ぶように走り抜ける。とりあえず、役所に赴いて、状況を確認しなくては―と、大きな赤い屋根を越えた時だ。雨を切り裂いて、暗闇の中からクナイが飛んでくる。咄嗟に、身体を捻ってそれを躱す。隣の屋根に着地して、クナイを取り出し、身構えた。

「誰だ!? 私は木ノ葉の人間だ!」
私は、そう叫んだ。敵の位置が分からない以上、自分から声を出すなんて事はあり得ない。しかし、今回はやむを得ない状況だ。その飛んできたクナイが、木ノ葉の忍が使う物であった為である。私と同じく、この里の状況を見た“木ノ葉の仲間”が怪しい人物を見つけ、咄嗟に攻撃したのかもしれない。同士討ちなんて事は、避けなければいけない。
 しかし、その思いは打ち砕かれる。闇の中から、木ノ葉の額当てを付けた忍が矢のように向かってきた。その者の目は、こちらをはっきりと捉えている。

「―っ!?」
一瞬の間で距離を詰めた“その忍”は、走り抜け様に、手に持っていた刀を躊躇なく振り抜いた。身体を後ろに逸らし、紙一重と言うに等しい所で避ける。後ろ向きに手を付き、バク転の要領で身体を翻し、均衡を戻す。相手は、こちらが“木ノ葉の忍”と分かった上で攻撃をしてきた。それの意味するところは、“敵が木ノ葉の振りをしている”か、“反抗”かどちらかだ。
 “その忍”は、振り返り、刀を握り直して、再びこちらに飛び込んでくる。上方から振り下ろすその刀を、素早く握り手の部分を掴み、相手の身体ごと後ろに放り投げる。相手は、身体ごと後ろへと飛び、屋根に背中から叩き付けられた。鈍い音を立てて呻いている間に、その上に向かって飛び、相手を踏みつけるように蹴りつける。しかし、その蹴りは、相手の身体ではなく、屋根を破壊した。呻きながらも、身体を起こし逃げたのだ。
 すぐさま、私
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