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戦国†恋姫〜黒衣の人間宿神〜
十四章 幕間劇
烏と雀×洗濯と腕ならし×新たな恋人
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姿が見えたのか、一目散に一本の木に走り出した。俺も追いかけた。真っ黒な木かと思ったら、無数のカラスが枝葉を揺らしながら一本の木に群がっていたけど。一番太い木の枝に座っているのは、烏だった。

「・・・・・・」

「なんて言ったんだ?」

「カラスに、お兄ちゃんと雀がここにいることを聞いたんだって!」

カラスと会話できるのかぁ。俺も似たようなもんか、精霊や神と話ができるんだから。雀は烏に向かい、手を振った。

「おねーちゃーん!下りておいでよ!」

「・・・・・」

頷くと、烏はひらりと華麗に飛び降りた。

「お姉ちゃん、お洗濯を手伝いに来てくれたの?でもね、もう終わっちゃったの。お姉ちゃんの分まで、ちゃんと洗っておいたから!」

「(ふるふる)」

「あれ?違うの?・・・・そういえば、お洗濯に銃を持ってくるわけないよね」

雀に釣られて、俺も烏の背中を覗き込む。本当に銃を持ってきているようだ。この時代のは濡れると使い物にならなくなるからな。

「・・・・・」

「お腹も空いたし、明日に向けて腕ならしに来たんだって!」

「腕ならしは分かるけど、空腹とは。もしかして、銃で果物を落とすのか?」

俺の予想は当たりで、銃口から素早く火薬と弾を詰めた。いつもととは素早い動きだったけど。

「・・・・・」

烏は柿の木に狙っているようだった。お手並み拝見だな。銃声が響いて、木々に止まっていた鳥たちは驚いて飛んで行ったが。

「お姉ちゃん、あたーりー!」

烏の反対の手には柿があった。しかも実には傷がない、枝にだけ当てたようだ。

「お姉ちゃんは、いつもこうやって雀たちの食料を調達してくれるの!本当に凄いんだよ!」

「ふむ。ならば、俺もやるか」

と言って手にはハンドガンを持って、狙い撃った。また銃声は響いたが、落ちてきた実をキャッチして見ると傷一つなかった。

「お兄ちゃんもすごーい。小型ので狙い撃つなんて!」

「まあな。でも俺たちの銃は金はかからんが、そちらは一発撃つごとに金がかかるんじゃないのか?」

「「!」」

二人の顔が一斉に強張るから、なんだと思ったらこのことはタブーだったらしい。

「これなら、安心して俺も戦えるな。一葉も安心するだろう」

「・・・・・」

「公方様だけじゃ、ないよ」

「ん?」

「公方様のことも、公方様の大切な人のことも、私が守ります。って、お姉ちゃんが言ってる」

「ああ、そういうこと」

雀も烏も、本当に素直でいい子たちだ。でも、そう言う時が来ないように、俺も日々鍛錬してるし。

「そうやって、はっきりと大切な人を守るって言えるというのは、烏は強いんだな」

「・・・・・」

ふむ
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