十四章 幕間劇
陣中食×新たな恋人
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「そうそう。上手だよ、ひよ」
「ホントですか?えへへー」
「もう少し作っておけば良いかしらね?」
「何やってんだ。皆揃って」
「あ、一真様!」
賑やかなところに顔を出せば、市達が何かをやっている。
「うん。堺から金平糖が届いたから、陣中食に出来るように小さく分けてるんだ」
「陣中食に?」
「一真、前に言っていたでしょ。金平糖は疲れた体に効くんだって」
ああ、確かに携帯口糧(戦闘糧食、レーション)として用いられているからな。戦闘中のエネルギー補給に使うのはいいけどな。
「ん、この包み方は?」
和紙に金平糖をいくつか包んで筒状にまとめた後に、両脇を可愛らしい紐で結んでいる。
「この方が、束にしてもまとめやすんですよ」
「そういうことか」
見れば、筒状にまとめた金平糖はちょっとした山になっている。今回は大所帯だし、将のみんなに配るだけでも結構な数になるよな。
「市の髪飾りみたいで可愛いでしょ!」
「そうだな」
「それより、一真も暇なら手伝ってよ」
「はいはい。両端をまとめればいいんだよな」
「あ、お兄ちゃんも手伝ってくれるんだ!ありがとー!」
で、少し時間が経ったときだった。俺は順調にやっていたけど。
「あともう少し残ってるわね。ついでだから、全部まとめちゃいましょう」
「はいっ!」
「こんな所にいたのか」
みんなでぼちぼちと話をしながら作業をしていた。そしたら俺の後ろから声がかかった。
「久遠様!」
「お姉ちゃん、まこっちゃん、お疲れ様ー」
「軍議はどうだった?久遠」
これからの行軍計画をまとめるため、久遠達国持ちが集まって軍議をしていた。表情から察するに、特に変わったことはなさそうだけど。
「現状の確認を行っただけだ。すべきは変わらん。このまま北上し、越前を落とす」
「そうか」
「・・・・・・・」
「まこっちゃん・・・」
「それで、何をしていたのだ?お前達」
「堺から金平糖が届いたみたいなんでね。陣中でのお菓子にするのに、小分けして包んでいた」
「ほぅ。市の考えか?」
「そうだよー。疲れてる時に甘い物がいいって、結菜お姉ちゃんがお兄ちゃんに教えてもらったんだって」
そんなことを言いながら、市はまだ包んでいない金平糖の残りをひょいとつまみ上げて・・・・。
「だから、まこっちゃん。軍議で疲れているよね?あーん」
「あーん。・・・・うん。甘くて美味しい」
「えへへー。じゃ、まこっちゃんも食べさせてー!」
「いいよ。はい、あーん」
うむ。相変わらず仲良しでいいことだ。あーんは、この前一時的に戻ったときに奏以来だな。
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