十四章 幕間劇
一真の落し物
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った。
「本当は、双葉に何か贈り物がないか探してたんだが、いい物がなくてな。俺の物で悪いけど、もしよかったら、俺の代わりだと思って持っていてくれると嬉しい」
そうして、全てを吐き出すかのように泣き出してしまったが、俺は静かに落ち着くのを待った。それにそのハンカチは、もし悪者が来たら守ってもらえるようにした物。でも、やはり元気がなかったのはこれのせいか。でも、双葉は受け取ってくれたからよかったけどな。
「落ち着いた?」
「はい・・・・。申し訳ありません」
「気にするな。出発する前に、双葉の不安がなくなれば俺は安心して戦える」
「ありがとう・・・・ございます」
そういって微笑んでくれたが、さっきみたいに寂しそうな表情ではない。この笑顔を見れたのは、でかけてよかったことだ。
「さてと。そろそろ帰るか。帰って残りの仕事をしないといけない」
「でしたら・・・・私もお手伝いします」
「双葉が?」
「二条では、幽のお手伝いを少ししてましたし・・・・お邪魔でなければ」
「一緒にいると心強いからな。手伝ってくれるか?」
「はい!」
「・・・・・一真様」
「ああ、一葉か。待たせたな」
「お姉様・・・・」
何か様子がおかしい一葉。もしかしてあれか、双葉はもらえて一葉には何もあげてないからか。
「どうして一真様は双葉にだけ自分の物をくれてやって、余には何もくれんのじゃ」
「それは双葉はここに残るから俺の代わりとして持ってもらうからだけど、一葉もほしいの?じゃあ、この市で何か買ってやるからそれでいいか?」
「うむ!初めからそう言えばいいのじゃ」
「お姉様・・・・」
一葉に手を握り、双葉には時間の事を聞かれたが問題なさそうだろう。今日中に何とかすればいいことだし、麦穂の用事もあるが足利衆離脱の危機だけは避けねばならんことだ。で、一葉に再び市のところに行ってひっぱられたけど、その後の仕事は無事に間に合ったのであった。
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