暁 〜小説投稿サイト〜
戦国†恋姫〜黒衣の人間宿神〜
十四章 幕間劇
一真の落し物
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
「・・・・・・・はいっ」

双葉は少し考えていたけれど、寂しそうな表情で頷いてくれた。

「二回目だが、小谷の街だな」

市に脱走じゃなくて、外出の手筈を付けてもらって、俺達三人は小谷の城下に行っていた。

「ふわ・・・・賑やかな所なのですね」

双葉の言う通り、小谷の城下は人通りも多くて、活気に満ちた場所だった。京みたいに圧倒的な歴史のある町並みは少ないが、そのぶん若くて元気がある感じだ。眞琴や市が頑張っている証拠だな。

「一真は小谷は初めてか?」

「さっき言った通り二回目だよ。道案内なら出来ると思うぞ」

何せ、この前来た時に小谷の街ならマップは完成していたけど。現代みたいにすぐ変更しなければというのはないだろうし。

「おお、案内役として連れてきて、よかったぞ」

「この先をまっすぐ行くと市があるから、言ってみようよ」

「ふむ・・・・そうだな」

「双葉。行くよ」

「あ・・・・・・っ」

俺が手を繋ぐと、双葉は小さく声をあげる。

「人通りが多い。はぐれないように注意しろ」

「・・・・・はいっ」

繋いだ手を、握り返してきた。一葉は、好きに動いてどこかに行っちゃいそうだから握った。両手に花というのだけど。でも一葉と手を繋いだのは、少し後悔した。

「見よ、一真様!あちらじゃ、あちら!」

「強くひっぱるなっつうの」

「お、お姉様・・・・っ」

糸の切れた凧は制御不能になるというが、もしかしてこういうことなのだろうか。俺としっかりと手を繋いであるから引き回されるのに苦労した。

「ほほぅ。猿回しか」

どうやら制御不能になった凧は、猿回し芸にお気に召したらしい。楽しそうに見ていて、俺は息を吐く。

「双葉、疲れた?」

「いえ・・・・・大丈夫、です」

そういう割には元気がないな。外出は慣れてない双葉だからしょうがないが、何かを隠しているのは分かるな。

「出かけるなら伊吹山の方がよかったかな?」

「覚えてくださったのですか?」

「確か、この辺りにある山というのは覚えている」

この前見てみたいという山が、この辺りにあるのは覚えている。が、俺はどの山が伊吹山なのかは知らん。

「はい。小谷に来るときに、幽に教えてもらいました」

「本当はそこまで行けたらいいのにな」

俺は空を飛べるから行けることは可能だけど。また、一葉や幽に勘違いされると面倒だし。

「いえ、間近で見られただけで十分です」

「そうだ。越前の件が片付いたらまたここに来ると思うから、今度は一緒に行こうな。もちろん空を飛んで」

小谷から美濃に戻るか京に戻るかは久遠次第だし。まあ、俺と黒鮫隊の者で行けば問題ないだろう。

「・・
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ